福岡市中心部の天神に大型複合ビル『ワン・フクオカ・ビルディング』(通称「ワンビル」)が開業して半年を迎え、来館者の数が累計782万人となった。

期待されるワンビルの“発信力”

ワンビルは、福岡市の再開発事業『天神ビッグバン』の目玉施設として2025年4月24日に開業。地下4階、地上19階の建物にはオフィスや商業フロア、ホテルなどを備えている。

ワン・フクオカ・ビルディング(通称・ワンビル)福岡市中央区天神
ワン・フクオカ・ビルディング(通称・ワンビル)福岡市中央区天神
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取材した日の正午過ぎ。ビル内は非常に賑やかで、特に地下2階では行列ができていた。行列客のお目当ては、この日、オープンした『萬田うどん』だ。

「味はしっかりしてるんですけど、くどくなくて、優しい味がします。子どももガンガン食べています」と話す子ども連れの女性や「出汁も美味しいし、うどんもコシがあって美味しい」と話す女性など、初日から大盛況だった。

オーナーの野田将史さんは「うちの店で作っているメニューをいろんな方に食べて頂きたいので、ワンビルという発信力に乗っかって出すことによって、より多くの人に届けられるんじゃないか」と期待を寄せる。

期待されるワンビルの“発信力”。オープンした頃は、連日、多くの人が詰めかけていたが、半年が経過して変化はあるのか。

行列ができていた店や場所は…

天神のオフィス街で働く人たちの“ランチ難民”問題に“一役買う”と期待された『天神福食堂』。開業から半年経った現在も昼のランチ時間には多くの利用客が訪れていた。開業当時は長い列ができていたが、現在は一応、並ばずに入れるようになっているという。

「食事の提供が速くて、時間がないときに助かってます」(20代)と話す男性や「今は、混雑は落ち着いていて、昼休み中に余裕をもって食事ができています」(20代)と話す女性など、ワンビル内のオフィスに勤める客にも好評だ。またワンビルで友人と待ち合わせたという女性は「小鉢とか付いてて1000円以内でお得だなと」(30代)と満足なようすだった。

自分の席からQRコードで注文。出来上がるとモニターに番号が表示され、受け取りに行く仕組みが浸透。今も1日に500食ほど出るものの、5分ほどで提供できるようになっていた。

西鉄ワンビル部課長の徳久愛子さんに話を聞くと「今は比較的スムーズにご利用頂けるようになっています。ワーカーの方が増えたんですよ。モバイルオーダーに慣れてるお客さまも多いので、そこが随分、浸透してきたなっていうのは思っています」と話す。

一方、開業当初は長蛇の列が途切れずに、大混雑していた『クリスピー・クリーム・ドーナツ』。

担当者は「期待の2倍以上のお客様にご来店頂いております」(『クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン』スタッフ・下田咲さん)と相変わらずの人気だ。

看板商品の『オリジナル・グレーズド』は半年で約60万個も売れたという。

評価される街の“回遊性”

ワンビルの担当者は、ここまでほぼ想定通りだと手応えを感じている。西鉄ワンビル部副室長の黄大圭さんは「入館者数につきましては開業から半年で、およそ800万人程度になる見込みとなっております」と話すが、一方で「お客さまの定着に時間がかかる店舗もございますので、テナント側と施設側で協力しながら、より良い施設作りを進めていきたい」と課題も口にする。

都市共生デザインを専攻する九州大学大学院教授の黒瀬武史さんは「天神の街っていうのは、地下2階と地上両方に人の流れの中心があるんですけど、その2つを繋ぐような縦の動線ですね、整備して頂いているので、そういうところは街の回遊性という意味でも評価していい」と話し、この半年で天神に新しい人の流れができたと評価する。

福岡県民の「日常の場所」として定着しつつあるワンビル。これからも天神に多くの人を集めていくことになりそうだ。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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