福島県内で熊の目撃件数が1000件を超え、過去最多を記録している。この状況は2年前に専門家によって予測されていたものだ。11月は特に注意が必要な時期とされている。

■熊と車の接触事故も発生
「下郷から大内宿に行く道路で、あと2kmほどで大内宿という時、熊が現れ急ブレーキをかけたものの接触。熊は左の方の沢に逃げていきました」と視聴者から寄せられた情報。接触事故を起こした車のボディには、熊の毛が数十本挟まっていた。幸い、運転していた人にケガはなかった。

■目撃件数は過去最多の1000件超
福島県内の熊の目撃件数は令和7年(2025年)に1103件と、過去最多を記録している。(放送時点の件数)令和2年は603件、令和3年は303件、令和4年は385件、令和5年は709件、令和6年は618件と推移してきたが、今年は急増している。

■2年前に予測していた専門家の見解
日本ツキノワグマ研究所の米田一彦理事長は、2年前にこの事態を予測していた。米田理事長によると、2022年に木の実が豊作だったことで2023年に多くの熊が生まれ、2025年にそれらが大人になって交尾期を迎え活動が活発になると見通していたという。
さらに今年は新たに生まれた子熊も多い上に、餌となる木の実が少ないことが問題を深刻化させている。

■月別の熊の行動パターン
米田理事長への取材によると、熊の行動は月によって異なるパターンを示す。
《9月》熊の餌が山で凶作になると、力の強い大人のオスグマが、独立した若い熊を「餌は俺のものだ」と言わんばかりに人里へ追いやる。9月は若い熊が多く現れる。
《10月》動きが遅い子グマを連れた母熊が、人里へ降りてくる。
《11月》最も危険な時期。冬眠時期を控えた大人の大きい熊が餌を求めて人里へ来るため、重傷事故や死亡事故が多くなる傾向がある。

■冬眠はいつから始まるのか
米田さんの見解では「熊は寒くなってエサがなくなると冬眠のスイッチが入る。平地で氷点下になり雪が降るようになると冬眠するのでは」という。今年の冬は寒くなる予報で冬が早く訪れる可能性があるため、「不幸中の幸い」と捉えられている。
県民は引き続き熊への警戒を怠らず、特に11月は注意が必要だ。

※2025年10月21日(火)に放送した福島テレビ「テレポートプラス」の天気コーナー「福テレ空ネット」から抜粋した記事です。気象などは最新の情報をご確認ください。

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