アメリカ国防総省は、取材規制に同意したメディアが「次世代記者団」に加わると発表しました。
国防総省は記者証交付の条件として、当局者に機密なものを含めて情報提供を「懇願」すれば刑事責任を問われる可能性があるとする指針への同意を要求し、主要メディアはこれを拒否しました。
こうした中、国防総省の報道官は22日、声明で、新興メディアや独立系ジャーナリストを代表する60人以上が新たな指針に同意し、国防総省の「次世代記者団」に加わると説明しました。
アメリカメディアによりますと、この記者団に加わる大半はトランプ大統領を支持する保守系の新興メディアだということです。
国防総省はメディアや記者の名前は明らかにしておらず、声明で「真実のニュースを直接、国民に届ける手法を確立した」などと述べています。
ここからは、スタジオからSPキャスターの柳澤秀夫さんとお伝えします。
宮司愛海キャスター:
いわばトランプ政権によるメディアへの圧力といっていいかもしれません。内容を振り返って見ていきます。国防総省を巡っては9月、メディアに対し報道前に当局の承認を得るように新たな指針を支持しました。そして先週、CNNはじめトランプ氏に近いFOXニュースなどの主要メディア各社が新たな取材規制の指針に同意せず、国防総省内の報道機関向けスペースから退去していたということです。こうした中で、国防総省は、60人以上が同意して「次世代記者団」に加わると発表しました。この次世代記者団の大半が保守系のメディアが中心だということですが、どうご覧になりますか?
SPキャスター・柳澤秀夫さん:
今回、退去した中にFOXまで含まれているのは象徴的ですよね。一番トランプ氏に近くて、代弁とまでは言いませんが、そういうメディアまでが退去したというのは。これ事実上、検閲ですよね。報道の自由というものが保障されていない。そういう状況になってくれば、メディアの役割は権力を監視する役割がありますが、御用メディアにしかならないことになると、これはやっぱり民主主義国家といえるのかと。トランプ政権のやり方は独裁政権のやり方と非常に類似している極端なものになりつつあるなという危惧を持ちますね。
宮司愛海キャスター:
まさに検閲そのものではないかという懸念もありますよね。
木村拓也キャスター:
メディアに対する圧力は9月も報じられていて、ABCテレビのトーク番組で司会を務めるコメディアンのジミー・キンメル氏、トランプ大統領の盟友と呼ばれた政治活動家、チャーリー・カーク氏が射殺された事件について、「トランプ氏の支持者らが事件から政治的利益を得ようとしている」とコメントしています。これに対し、トランプの支持者たちが反発をして、FCC(連邦通信委員会)が放送免許の取り消しをちらつかせて、結果的に番組が一時休止することになりました。トランプ大統領自身はメディアへの圧力を否定はしましたが、「ニュース番組の97%が私を批判している。これは違法だと思っている」と発言をしていました。
宮司愛海キャスター:
こうした動きに対して、俳優のトム・ハンクスさんなどハリウッド俳優ら400人以上が声を上げたと。「言論の自由に対する政府の脅迫を決して受け入れられない」としたわけですが、こうした政府からメディアへの圧力が続くとどんなことが想定されますか?
SPキャスター・柳澤秀夫さん:
自分を批判するものは違法だという、どういう理屈なのかよく理解できませんけれども、これはアメリカの民主主義そのものも問われているし、アメリカのメディア自身もどういうふうにトランプ政権のもとで自分たちの活動をしていくのか、メディアも相当厳しく問われていると思うんですね。屈してしまうのか、あるいはそれになびくのか。なびいてしまったら自分の首を絞めるようなものですから、そこも厳しく問われていると思いますね。
宮司愛海キャスター:
そういった点でも転換点に立っているのかもしれません。