高市首相は24日午後2時から、衆議院で初めての所信表明演説に臨み、「日本の最大の問題は人口減少であるとの認識に立ち、子供・子育て政策を含む人口減少対策を検討していく体制を構築する。人口減少に伴う人手不足の状況において、外国人材を必要とする分野があることは事実だ」と述べた。
さらに、外国人の問題については、「インバウンド観光も重要だ。しかし、一部の外国人による違法行為やルールからの逸脱に対し、国民の皆様が不安や不公平を感じる状況が生じていることも、また事実だ」と指摘した。
その上で、「排外主義とは一線を画すが、こうした行為には、政府として毅然と対応する。政府の司令塔機能を強化し、既存のルールの遵守を求めるとともに、土地取得等のルールの在り方についても検討を進める。そのため新たに担当大臣を置いた」と、外国人対策のトップとして小野田紀美経済安保相を起用した事に触れた。
また、外交政策については「我々が慣れ親しんだ自由で開かれた安定的な国際秩序は、パワーバランスの歴史的変化と地政学的競争の激化に伴い、大きく揺らいでいる。同時に、我が国周辺では、いずれも隣国である、中国、北朝鮮、ロシアの軍事的動向等が深刻な懸念だ。こうした国際情勢の下、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と語気を強めた。
その上で「日米同盟は日本の外交・安全保障政策の基軸だ。日米両国が直面する課題に対し、しっかりと連携し、日米同盟の抑止力・対処力を高めたい。私自身、トランプ大統領が訪日する機会に会って、首脳同士の信頼関係を構築しつつ、日米関係を更なる高みに引き上げたい」と述べて、27日に来日予定のトランプ大統領との首脳会談への意気込みを示した。
一方で、「沖縄県を含む基地負担軽減に引き続き取り組む。普天間飛行場の一日も早い全面返還を目指し、辺野古への移設工事を進める。また、強い沖縄経済を作る」と米軍基地問題を抱える沖縄県への配慮も見せた。
また、韓国やASEAN諸国と「更なる関係強化」を図るとした。
中国との向き合いについては「日本にとって重要な隣国であり、建設的かつ安定的な関係を構築していく」としつつ「経済安全保障を含む安全保障上の懸念事項が存在することも事実だ。日中首脳同士で率直に対話を重ね、「戦略的互恵関係」を包括的に推進していく」と述べた。
ロシアに対しては「ロシアによるウクライナ侵略について、力による一方的な現状変更の試みを許してはならない。日露関係は厳しい状況にあるが、日本政府の方針は、領土問題を解決し、平和条約を締結することだ」とした。
その上で高市首相は、「我が国として主体的に防衛力の抜本的強化を進めることが必要だ。このため、国家安全保障戦略に定める『対GDP比2%水準』について、補正予算と合わせて、今年度中に前倒して措置を講じる。また、来年中に『安保関連3文書』を改定することを目指し、検討を開始しする」と強調した。