アサヒグループに続いてサイバー攻撃の標的となったのは、ネット通販大手の「アスクル」。
21日にホームページを見てみると、システム障害が発生した影響で、今も商品の出荷などが停止されていました。
オフィス用品で知られるアスクルですが、消毒液や手術用メスなど医療用品を幅広く扱っています。
影響は、高齢者などの自宅で医療ケアを行う現場にも。
東京・足立区にある訪問看護を行う会社「訪問看護ステーションブロッサム」では、アルコール消毒綿が残りわずかに迫っていました。
訪問看護ステーションブロッサム・西村直之社長:
在庫があと7箱。単純にこれがあと10日ぐらいしかもたない。
また、インフルエンザが本格的な流行のシーズンに突入する中、このまま出荷停止が続けば、医療専用マスクもあと1カ月ほどで底をつくといいます。
訪問看護ステーションブロッサム・西村直之社長:
これだけの単価で買えるということはアスクルが一番安いかなと思っているから、アスクルをずっと使っている。安く買えたり、スムーズに買えるところを探す。
東京都内にある「いとう王子神谷内科外科クリニック」でも、一部の医療用品の在庫がひっ迫する事態に陥っていました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
ピンセットやはさみ、縫合に使う鉗子(かんし)もなかなか普通の通販では買えない。アスクルから買っている。
このクリニックでは、医療備品の約7割をアスクルに注文しています。
皮膚を縫合する医療用のホチキスは残り1箱となっていました。
いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長:
備品関係で致命的になることもあり得る。1カ月以上続いたらかなり厳しい。何事も大きなことが起こらない限度は1週間。
一方、アスクルの商品を利用する都内の学習塾「植田塾」では、コピー用紙の発注ができなくなり、テストや宿題などで使う紙が補充できない状態となっていました。
影響が長引けば、新たな発注先を探すなど対応を迫られるということです。
影響は他のネットストアにも及んでいました。
アスクルに商品の配送を委託している生活雑貨専門店の「無印良品」や「ロフト」はネット販売が停止。
さらに百貨店の「そごう・西武」もネット通販での一部の商品の購入ができなくなっています。
身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウェア」によるサイバー攻撃。
アスクルのシステム障害は復旧のめどが立たず、長期化の様相を見せています。
こうした状況について、ITジャーナリストの三上洋氏は「現状でも復旧できないことをみると、ランサムウェアによって社内の多くのシステムが復旧できない状況にあると考えた方が自然。長期化する、少なくとも1カ月、数カ月以上かかってもおかしくない」と語ります。
発生から3週間がたったアサヒグループホールディングスのシステム障害では、お歳暮ギフトの一部商品の販売が休止になり、影響が年末商戦にまで広がっています。