三河のバスケを遂行するために求められる最適解
10月18日・19日、ウィングアリーナ刈谷で「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズン」のB1リーグ第4節が行われ、シーホース三河は昨シーズンの王者・宇都宮ブレックスをホームに迎えた。GAME1は82-90で、GAME2も92-98で敗れ、3連敗となった。
三河はCSを含めて宇都宮に11連敗中で、まさに天敵のような存在だ。過去を断ち切って浮上のきっかけをつかみたいGAME1だったが、三河は残り4分半までリードするも逆転負けを喫してしまう。試合を通して三河がリードしていた時間は24分35秒。終盤のミスから踏ん張り切れず、GAME1は非常にもったいない結果となった。ただし、オフェンスリバウンドは三河7に対して宇都宮20で、アテンプト数は三河65に対して宇都宮72。三河が押している時間帯は多かったが、数字を見てみると負けるべくして負けたと受け取れる。
痛恨の敗戦からバウンスバックを狙ったGAME2は、序盤から宇都宮に高確率で3Pシュートを決められてしまう。三河はペイントエリアのディフェンスに重きを置くチームで、ある程度の3Pシュートを許すのは仕方がない。ここで踏ん張りたいところだが、2Qに入ると流れを失い、20点のビハインドを背負ってしまう。
ライアン・リッチマンHCが「去年はベストのユニットだと思っていた」と評価するセカンドユニットが、前節に続いて今節も機能しなかった。常に悪いわけではなく「安定感に欠ける」が正しいかもしれない。ただ、直近の3試合は悪い方向に出ている。これは個人の「+/−」を見ても残念ながら否定するのは難しい。この点について、リッチマンHCは「昨シーズンはスターターの部分で苦戦しているところがありました。今シーズンはそれが逆になっている状況です。新加入の(アーロン)ホワイト選手やトーマス(ケネディ)選手は素晴らしい選手ですが、コンビネーションに関してはもう少し時間が必要と思っています。また、離脱している(シェーファー)アヴィ選手は選手同士をつなぐコネクターの役割を持っていて、オフェンスでもディフェンスでもチームを助けてくれる存在です。彼が戻ってきたらもっとチームを高めていけると感じていますし、自分たちのプロセスを大切にしながらやるべきことにフォーカスしていきたいと思っています」と話す。
新加入選手をどのようにフィットさせてセカンドユニットを構築していくのか。その最適解を見つけることが急務となっている。
地力を証明した2試合。「あとは勝ち癖をつけていかないと」(久保田)
チャンピオンチームを相手に諦めたくなるような展開になるが、3Qから三河が巻き返す。GAME1でチーム最多の19得点を記録し、GAME2でも17得点と気を吐いた久保田義章は言う。
「前半は見るに値しないようなプレーでした。残り50数試合ある中、こんな姿はもう見せないようにしなければいけません。ハームタイムではしっかりと話をして、後半はプロ選手としての姿を見せられたと思います」
3Qに入るとディフェンスの強度が上がり、オフェンスではボールを回すだけでなく、西田優大やジェイク・レイマンのペイントアタックが増えた。中を攻めれば外にスペースができ、いいタイミングで3Pシュートも打てる。好循環が生まれ、3Qを終えて62-70と8点差に詰め寄る。4Qの残り4分には須田侑太郎とレイマンの連続3Pシュートで、77-80とワンポゼッション差に。アリーナは熱狂に包まれ、GAME1と逆の展開を期待したファンも多かっただろう。しかし、宇都宮のタイムアウト後に77-86と再び突き放されてしまう。この勝つことが当たり前になっている「勝負強さ」がチャンピオンチームたるゆえんであり、三河にはまだ足りないメンタリティかもしれない。最終的に92-98で終了。2試合とも好ゲームだったが、軍配は宇都宮に上がった。
「CSで宇都宮さんと戦ったときよりも自分たちは変わったと感じますし、強いチームに対して通用する部分が増えていることも実感できました。あとは40分間通して継続できるかどうかが課題だと思います」と久保田。後半の改善点に関しては、「まずはフロントコートまで早くボールを運ぶことを意識しました。そして全員でボールタッチして、ペイントアタックすること。ボールがよく動くのが三河のバスケだと思うので」と振り返る。
宇都宮に13連敗となったが、チャンピオンチームを相手に36分互角以上に戦うことも、大差からカムバックすることもできた。三河に地力があることは証明している。足りないのは勝利という結果だけ。ここまで2勝5敗と苦しいスタートとなったが、今こそ「バラバラにならないこと」と久保田は言う。
「課題はたくさんありますが成長につながっていると思いますし、大切なのは一体感を忘れずに前を向くこと。そして勝ち癖をつけなければいけない。負けるときは同じような負け方なので、これをなくして勝ち切ること。最終的に結果がついてくればいい」
内容が悪くても勝ち切ることで得られるものは多い。結果が求められるリッチマン体制3年目。常に「カイゼン」を口にしてきた指揮官がどのような手腕を見せてくれるのか、次節に注目したい。