東北地方では朝晩は肌寒く感じるようになり、そろそろ暖房の準備を考える季節となった。あらゆる物価が上がる中で、灯油価格も高止まりが続いている。価格を考えると前シーズンに残った灯油を使いきりたくなるが…灯油の気になるあれこれをまとめた。

福島県内の灯油店頭価格(2025年10月8日時点)
福島県内の灯油店頭価格(2025年10月8日時点)
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灯油価格の高止まりを懸念

秋も徐々に本格化するなか、動き出し始めているのが灯油の販売だ。福島県郡山市のガソリンスタンドの灯油価格は1リットル当たり115円となっている。北日本エネルギー・三代川大輔さんは「例年に比べ少し高いという声は頂きます」と話す。

このガソリンスダンドでは1リットル115円(2025年10月8日時点)
このガソリンスダンドでは1リットル115円(2025年10月8日時点)

10月から徐々に灯油を買い求める人が出てくる中で、価格の高止まりが顧客の消費行動にどう影響するか懸念している。北日本エネルギーの三代川さんは「世界的に見ても原油の取り引き価格っていうのは、少しずつ値上げはしている状況なので、直近で直に大幅な値下げは見込めない状況です」という。

資源エネルギー庁によると、福島県内の最新の灯油店頭価格は、18リットルあたり2181円。過去10年の推移をみると、10年前の同じ時期では1362円、それが年々高騰を続け、2024年と比べても100円以上高くなっている。

10月初めの灯油店頭価格の推移(DATE:資源エネルギー庁)
10月初めの灯油店頭価格の推移(DATE:資源エネルギー庁)

農家も灯油価格を注視

灯油を大量に使う農家も価格の動きを注視している。
郡山市にある降矢農園。来シーズンに向けて、農業用ハウスで1万4000株のイチゴを育てている。重要なのが温度管理。10度以下になると生育が遅れるため、夜間は灯油などを使いハウス内を一定の温度に保つ必要があり、灯油価格の高止まりが負担となっている。

イチゴの苗をハウスで育てる
イチゴの苗をハウスで育てる

降矢農園の降矢和敏代表は「3台で1時間に40リットル。12時間では大体500リットル、そうすると1リットル100円くらいだと毎日5万円くらいの計算になる」と話す。

熱が外に逃げないようビニールのカーテンを使用したり、温度設定を生育に支障がない範囲で下げたりと努力を続けているが、燃料代削減への効果は限られているという。降矢農園の降矢代表は「毎年上がっている感じ。とても重く感じられる」と語る。

気温が低くなるこれからの季節。灯油の需要の高まりとともに家計や経営への負担も増していきそうだ。

暖房器具に古い灯油は使わない

一方で、暖房器具を使う際には改めて火災などへの注意が大切だ。
石油ストーブに誤ってガソリンを給油した場合の実験動画。郡山消防本部管内では過去5年間で石油ストーブが原因とみられる火災が17件発生している。

石油ストーブにガソリン(実験:製品評価技術基盤機構nite)
石油ストーブにガソリン(実験:製品評価技術基盤機構nite)

特に注意したいのが古い灯油の使用だ。
郡山消防本部・危険物係の堀江健太郎消防司令補は「古い灯油を使用すると、ストーブの点火をしようとしたときに異臭や、消火ボタンを押してもなかなか火が消えないといった異常燃焼を起こすことがある」と注意喚起する。

変質灯油(画像:製品評価技術基盤機構nite)
変質灯油(画像:製品評価技術基盤機構nite)

古い灯油を使った場合、消火ボタンを押しても火が消えず、機械の故障など引きおこす。「温度が高いところや、日光がよく当たる場所に置いておいたものは劣化が早くなる。基本的には前のシーズンに使ったものを持ち越しで使わないように」と郡山消防本部の堀江さんは話した。

変質灯油を使った実験(画像:製品評価技術基盤機構nite)
変質灯油を使った実験(画像:製品評価技術基盤機構nite)

また、ストーブの上で洗濯物を干そうとして火災につながったケースも起きている。暖房器具の取り扱いには十分注意を。
(福島テレビ)

福島テレビ
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