岐阜県大垣市の住宅街にある「明吟(めいぎん)」は、創業から半世紀以上続く町中華。2代目店主が守る名物チャーシューは世代を超えて愛され、ユニークな古墳チャーハンも登場。昔ながらの味と遊び心で、地元に親しまれています。

■岐阜・大垣の住宅街で半世紀…地元で愛され続ける町中華
大垣市の住宅街にひっそりと佇む中華料理店「明吟」は、地元客でいつも賑わう人気店です。

客:
「最近にはない、昔ながらの中華」
別の客:
「ラーメン店はいっぱいあるけど、ここの味が好き」
厨房に立つのは2代目店主・清水英男さん。
店主・英男さん:
「毎日変わらぬ味をお客さんに提供するのが目標」

子どもから大人まで幅広く愛される町中華には、40種類以上のメニューが並びます。
中でも人気は「ピリ辛ネギラーメン」(913円)。
客:
「程よい辛さでおいしい」

また、定番の「冷やし中華」(968円)にも店主のこだわりが。
英男さん:
「 宗田カツオのオイルをかけている。カツオの油がおいしいから人気がある」

客:
「『中華飯』の味が凄くいい。何かが違う、何かはわからないけど」

英男さん:
「食材1つ1つに味をしみ込ませる。表面だけでなく、中まで味をつける」
英男さんのこだわりは、食材の芯まで味をしみ込ませる“しみしみ料理”です。
■とろける脂と絶妙な塩加減…明吟名物「自家製チャーシュー」
“しみしみ料理”の代表が「自家製チャーシュー」(1枚220円)。
客:
「脂がトロッとしていて、味もちょうどいい」
別の客:
「やわらかくて食べやすい」

英男さん:
「肉の中まで味をしみ込ませるよう作っている。人気なだけに作るのは難しい」

脂身の少ない国産豚肉を4時間じっくり煮込み、深く味を染み込ませた逸品。
麺類やチャーハンにもたっぷり使われ、創業以来お店を支えてきた“明吟の顔”です。
■時代の波に押され…大衆食堂から中華料理店へ
「明吟」は町中華でありながら、「オムライス」も提供しています。実は25年前まで“中華”ではなく“食堂”でした。

店は、創業者の父・明さん(82)と、母・あや子さん(77)が昭和45年に開店。
父・明さん:
「当時はオムライスとラーメン。おかげさまで忙しかった。でも時代の波で限界がきた」
人口減少と周辺のコンビニ・ファミレスの進出で経営が苦境に。そんな中、店を継いだのが息子の英男さんでした。

明さん:
「これからは麺類だけではダメなので、中華はどうだろうって」
英男さんは中華料理店で修業を積み、店に戻って調理を担当。両親は接客と補助を務め、大衆食堂は中華料理店へと生まれ変わりました。

英男さん:
「常連さんや地域の人のために、なんとかやっていこうと。変わらぬ味を出し続けないと続けられない」
食堂時代の常連にも来てもらえるよう、ラーメンやオムライスなど懐かしのメニューも継続。“昔と今”が共存する個性豊かな町中華となりました。
■前方後円墳にそっくり…ユニークなチャーハンが登場
英男さんが考案したユニークなチャーハンも、密かなブームになっています。店の近くにある「昼飯(ひるい)大塚古墳」をモチーフにした「昼飯こーふんチャーハン」(946円)。
千葉から来た客:
「考古学やっていたので古墳好きで、岐阜の古墳を回っている。メニューがあるのは知っていて、ちょっと気になって」

キムチ、エビ塩、ホイコーロー、3種類の味のチャーハンを三段に積んだ個性的なメニュー。

英男さん:
「お客さんも古墳なだけに“コーフン”していました(笑)。昼飯大塚古墳が、三段に積まれた作りなので、真似をして」
千葉から来た客:
「すごい。昼飯大塚古墳が再現されている。ちゃんと前方後円墳の形になっている」

自慢の“しみこみテクニック”で、味と楽しさを両立させた一皿です。
食堂として30年、中華料理店として25年。親子で半世紀以上にわたり、地域の味を守り続けてきた「明吟」は、これからも変わらぬ味と遊び心で人々を魅了し続けます。