古謝景春市長:
私がこのまま辞職すると、これまで否定してきた事案までも事実として認めることになると判断したことから、辞職はしません。

沖縄・南城市の古謝景春市長(70)の職員へのセクハラ問題を巡り9月、市議会で不信任決議が可決されていましたが、10月6日、古謝市長は辞職ではなく、議会の解散に踏み切りました。
この判断に対し、南城市の市議らが猛反発。

高江洲順達市議:
これは市長がそのまま居座りたいという延命策じゃないか。

不信任決議4度目で可決

市長をめぐっては2023年12月、公用車の中で当時運転手だった女性の胸を触るなどしたとして、2024年に強制わいせつの疑いで書類送検されましたが、嫌疑不十分で不起訴処分に。

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しかし、市長のセクハラ疑惑はこれだけではありませんでした。
2025年5月、市が設置した第三者委員会は、キスや胸を触るなどのハラスメント被害が9件寄せられたと公表。
ホテルでのキス、飲み会での卑猥な言葉などは「全てあったと判断できる」として、「市長が辞職し今後市政に関与しないことが最も有効」と断罪したのですが、市長は…。

古謝景春市長:
職員の肩や手に触れた行為は事実。コミュニケーションの一環として激励の意味を込めて行っていた。

実は市長に対しての不信任決議はこれまで、セクハラ疑惑をめぐって3度提出されるも否決。4度目の9月、初めて可決されました。
なぜこのような事態となったのでしょうか?不信任決議に賛成票を投じてきた市議は…。

高江洲順達市議:
「セクハラかは、自分たちは認めない」というのが与党議員の今までの発言だったんですね。

保守系の議長は…。

中村直哉議長:
各議員が、自分の支持者と市長の支持者がかち合っている部分で非常にやりづらいっていう部分は、実際あったのかなって気はします。

不信任に反対した議員が、選挙への悪影響を心配した可能性などを示唆しました。

評価もある一方でワンマンぶりも…

2006年に合併した南城市。その初代市長となった古謝市長。
市長について市議たちは…。

高江洲順達市議:
南城市のために仕事もできる。そして、予算を国、県から引っ張り出してくるとか、こういった成果(の評価)が市民からもありました。

宮城尚子市議:
絶対君主みたいな。自分に反するものは許さないっていう、自分が神みたいな思い込みをしている人。

手腕に評価もある一方で、「絶対君主」とも称されるワンマンぶりも垣間見えたといいます。

そんな市長に、なかなか不信任を突きつけられない中、その流れが一変する出来事が。

“セクハラ行為”の口止めを迫った?音声データ

〈公開された音声データ〉
古謝市長「相談がある。ここで(個人名)にハグしたさ。これ第三者委員会であんた話したの?」
古謝市長からセクハラを受けたと訴える女性「え?わたし?」
市長「うん」
女性「…言っていないです」

市長が職員に対して、“セクハラ行為”の口止めを迫ったともとれる音声データが公開されたのです。

〈公開された音声データ〉
市長「これはやられたけど、一緒に本当あの4年ぶりさあね。だから『それ以外変なことやられていない』って言ってね」
女性「ああ…」
市長「もし聞かれたらね」

これらの音声が決定的となり、4度目にして、不信任案が賛成多数で可決。
辞職か、議会の解散か、市長の判断が待たれる中、議長は辞職はせずに、議会解散という道を選択しました。

この市長の判断に対し、野党中立の市議たちは抗議声明を発表。

〈古謝市長の議会解散行使に対する抗議声明〉
古謝市長による議会解散は、自らの不祥事を誤魔化す外道の所業に他ならない。
解散理由の大義はどこにも見当たらない。被害者はもとより、心ある職員・市民の憤激は限界を超えた。

市議選 市長の狙いは“隠れ市長派”?

これまで不信任案が3回も否決されたことについて、千葉県の鎌ケ谷市長を5期務めた、麗澤大学客員教授の清水聖士氏によると「当初は市長を支持する与党派の市議が反対したからではないか。また、不信任案が可決され議会解散になった場合、自分の職がなくなることを市議が懸念し反対した可能性もある」といいます。

問題が大きくなり有権者たちの目もあるので、これ以上反対することが難しくなり、4回目で可決されたのでは、ということです。

11月9日に投開票が行われる市議選。

清水氏によると、「不信任決議可決を阻止するため、市議選で7人以上の市長を支持する議員を当選させることが狙いでは」といいます。
戦略として、選挙中は市長を批判する姿勢を見せ、当選後は市長の支持に回る(不信任決議を欠席など)、“隠れ市長派”の市議を増やそうとしている可能性もあると指摘しています。
(「サン!シャイン」10月7日放送より)