2025年10月1日で、全線再開通から3年を迎えたJR只見線。ラッピング車両が運行されるなど、お祝いムードのなか期待の声がある一方で、今後の課題も見えてきた。
全線再開通3周年でお祝い
10月1日は、福島県の会津若松駅にJR只見線の全線再開通3周年を祝して運行されるレトロラッピング車両がお目見えし、多くの鉄道ファンが集まった。

新潟県から訪れた人は「景色と、渡し船にも乗るツアーなのでそれも楽しみ」と話し、青森県から訪れた人は「廃線が最近多いので、乗りたくても乗れなかった列車たくさんある。そういった中で復活を遂げたということは素晴らしい」と話した。
只見線好き移住者がご案内
只見川に沿って、奥会津の大自然の中を走る只見線。記念列車の車内ガイドを務めたのは、只見線が好きすぎるあまり再開通を果たした2022年に福島県金山町に移住してきた大越智貴さん。この日で1815回目の乗車だという。

大越さんは「天気は悪かったけど景色は良かった。楽しんでいただけたのではないかな。色々あったけど、3周年の記念列車が走って良かった」と話した。
絶景路線を満喫
出発から約2時間半、大勢の人に出迎えられながら只見駅へと到着した。乗車した福島県南相馬市から家族旅行できた小学生は「いろんな景色があって面白い。きれいだった」と話した。

只見町観光公社の新國元久(にっくにもとひさ)さんは「まずは乗っていただかないと線路維持できない。とにかく皆さんに知っていただく、乗っていただく、そして来ていただく、楽しんでいただく。おもてなしを皆さまと共にしていきたい」と語った。
只見線 魅力の広まり実感
大勢の関係者が出迎えた会津柳津駅。駅舎にある工房で、赤べこの制作や販売をしている伊藤千晴さんも、これからの只見線の盛り上がりに期待する一人だ。

「個人旅行の方が以前より増えたという印象がある中で、バスで駅まで来て只見線に乗るという利用もあるので、只見線の興味が色々な方に広くいきわたっているのでは」と話し、只見線の魅力が広まってきていると実感しているという。
秋の観光シーズンにも期待
2024年4月に駅舎がリニューアルされた会津柳津駅は、利用者が増え始めている。駅舎を管理する会津柳津観光物産協会によると、2025年4月から8月までの駅の来訪者数は1万4802人で、2024年の同時期と比較して約3000人増加した。
(※2024年1万1901人 午前8時半~午後5時までの来訪者数)

伊藤さんは「紅葉のシーズンはやはり期待値が高まる。今年も賑わうと思う。赤べこと柳津を知っていただくきっかけになると思うと、すごくまた楽しみな時期がくる」と話し、これからの繁忙期にも期待を寄せた。
今後の課題
地域の魅力を発信する観光資源としても、沿線地域から期待が寄せられる只見線。
会津川口駅から只見駅の区間での、一日1キロあたりの利用者を示す『平均通過人員』の推移をみると、全線再開通した2022年度から利用者は大幅に増加している。
2023年度には、当初目標としていた100人を達成した。しかし2024年度は100人を下回る69人に減少し、赤字での運行が続いている。

只見線地域コーディネーターの酒井治子さんによると、只見線に興味があっても気軽には乗れないと感じている人がいるという。
短い区間の利用でも楽しめることなど、情報発信を継続しいかに新規の利用者を増やせるかが課題だと話していた。

今後の只見線の盛り上がりや、地域の取り組みに注目だ。
(福島テレビ)