仙台市出身の左手のピアニスト早坂眞子さん。
9月27日、東北では初めてとなる「ワンハンドピアノ」、片手で演奏するピアノの魅力を伝えるイベントを仙台市で開催しました。
多くの人がワンハンドピアノを楽しみその音色に聞き入りました。

早坂眞子さん。仙台市出身の25歳です。

27日、仙台でワンハンド・ピアノフェスタというイベントを開催しました。
片手でのピアノ演奏を弾いたり聞いたりして楽しむイベントで、東京や大阪でこれまで10回以上開催されてきましたが、東北では今回が初開催です。

これまで早坂さんは参加者として関わってきましたが、初めて主催者の一員となり、準備を進めてきました。

早坂眞子さん
「うまく運営できるか心配なんですけれど、心配ばかりではなく楽しみとかワクワクの方が強いので、何とか乗り切っていい会にしていきたい。」

3歳からピアノを習い始めた早坂さん。プロの演奏家を目指し、仙台を離れ東京音楽大学付属高校に進学しました。
しかし、本格的に勉強を始めてから1年ほどが経った頃、手や足など体の一部が突然こわばったり、震えたりする脳神経の疾患「局所性ジストニア」を発症し、ピアニストとして、右手が使えなくなりました。

早坂眞子さん
「ピアニストになるとか自分がどうしてこの学校に来たのかとか。あまり考えられなくて今の自分の状況を把握するのが精一杯。」

そんな早坂さんの背中を押したのが、早坂さんと同じ病を患いながらも「左手のピアニスト」として活躍し、東京音楽大学で指導をしていた智内威雄さんでした。

ワンハンド・ピアノフェスタは、早坂さんにとって特別な意味があったと二人は振り返ります。

早坂眞子さん
「私自身はフェスタに出て、本当に変わったと感じていて皆さんに勇気をもらっている。」

智内威雄さん
「彼女も左手で始めた時はまだ心閉ざしているところがあったけれどフェスタでどんどん解きほぐされた所がある。その彼女が主催に入って楽しみを分け与えるというかどんな事ができるのかどんな会になるのかすごく楽しみです。」

そして、イベント当日。

智内威雄さん
「音楽っていいなって思えるような楽しさが全面に出たらいいなと思いますね。」

早坂眞子さん
「早)今までの準備期間を思い返して、長いようで短かったなと思うので、本当に成功させたい。」

イベントには、演奏者として14才から70才までの12人が参加しました。
ワンハンドピアノの経験や障がいのあるなしは様々です。

参加者の中には早坂さんと同じ病気の人もいました。

後藤直美さん(局所性ジストニアを患う)
「なんで自分だけ両手で弾けないのと思うこともたくさんあって、両手の(発表会)には行けない自分がいるが、ワンハンドだけ(の発表会)は一人ではないという気持ちでとても勇気をもらう。」

東北初開催となったワンハンド・ピアノフェスタ。参加者はそれぞれの思いを胸に、この会を楽しめたようです。

智内威雄さん
「彼女は片手(ピアニスト)になることで違った人たちとの出会いがあって、希望を求める人たちに対して今回のコンサートを通して(希望を)与えられている。喜びを知ったのではという気がしている。そういう表情をしていたので、楽しかっただろうなと」

早坂眞子さん
「本当に音楽で人がつながるってこういう事ではないかと体感した一日になった。こんな世界があるんだという感想をもらうと、仙台でやってよかったと思うので、これは大成功ではないかと思います。」

仙台市出身の左手のピアニスト早坂眞子さん。
これからも、その魅力と可能性を伝え続けます。

仙台放送
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