秋篠宮家の次女・佳子さまが、9月の鳥取へのご訪問で身につけた地元製アクセサリーが話題に。聴覚障害者が手がける七宝焼きイヤリングと、因州和紙を使った一点ものの藍色イヤリングという隠れた「手仕事」に光が当たった。地方の工芸品と障害者支援の価値が高まり、鳥取の伝統工芸が世界へ羽ばたく新たな可能性を示している。

9月13日から14日にかけて鳥取県を訪問された佳子さま。倉吉市で開かれた『全国高校生手話パフォーマンス甲子園』に出席されたほか、多くの県民と交流された。
その公務の場で身につけられた鳥取ゆかりの「ご当地アクセサリー」が話題に。にわかにスポットが当てられた鳥取のかくれた手仕事が注目されている。
境港市の福祉事業所が手がける「七宝焼き」イヤリング

9月13日、鳥取空港に到着された佳子さま。
ビビッドなピンクのワンピースにブラウンのジャケット姿で県民の歓迎に応えられた。
そのコーディネートに合わせられていたのが、耳元のつややかなピンク色のイヤリングだった。

このイヤリングを作っているのは、境港市の水木しげるロードにある「はまゆう」。市内の福祉事業所が4年前から運営している。
事業所の利用者が作ったおにぎりや陶器と並んで店の半分ほどを占めるのは、「七宝焼(しっぽうやき)」のアクセサリーだ。

七宝焼は、金属の素地にガラス絵の具を焼き付けて装飾する工芸品で、「七宝」という名の通り、美しい色彩が特徴だ。古代エジプトが起源とされ、日本には奈良時代に伝わったとされる。

イヤリングを作ったのは、重度の聴覚障害がある渡部史也さん。佳子さまが自分の作品を身につけられたと知って、「とてもうれしいです」と大喜びだった。
「はまゆう」は一般企業での就職が難しい人に「働く場」を提供する就労支援事業所で、14人の障害者が働いている。
渡部さんは、ここで同じように聴覚に障害がある人と一緒に、七宝焼のアクセサリーを製作している。

一般社団法人はまゆうの若原紀子代表は「びっくりが一番で、でもありがたい。おきれいな上に衣装とも合わせて、すてきに飾っていただいていいなと思いました」と喜びを語った。

「 因州和紙」を使った藍色のアクセサリーにも脚光

訪問2日目の公務では、鮮やかなブルーのスカートにあわせた「藍色のアクセサリー」が揺れていた。

「休みだったので、何気にテレビをつけていたらちょうど佳子さまのアップになったので、その時にうちの商品じゃないかって…そこで分かりました」
こう振り返るのは諸吉陽子さん、アクセサリーの製作者だ。
鳥取市で印刷会社を経営する諸吉さんは、事業のひとつとして、11年前から因州和紙を使ったアクセサリーを製作・販売している。

今回、佳子さまがつけられたイヤリングは6年前から販売しているもので、長さは3センチほど。藍で染めた因州和紙を筒状に丸めて形を作る。染めから仕上げまで、すべて諸吉さんの手作業だ。

“一点もの”が魅力 通販サイトは「SOLD OUT」状態
「(染めた和紙は)一枚一枚、とるところによって色が全然違うので、そこの面白さが出てくるし、自分のデザインしているものが形になるのがすごく楽しい」と諸吉さんは話す。
染められた和紙は、1枚1枚模様が異なり、でき上がるイヤリングも2つとして同じものはない「一点もの」である。

通販サイトでは、佳子さまがつけられたことが知られると、まもなく「ソールドアウト」。
問い合わせも多く、諸吉さんは注文に応えるためコツコツと製作を進めているが、しばらくは品薄が続きそうだ。

「とても光栄ですし、まさかそこで目にするとは思わなかったので、これからの励みになるし、県内外に因州和紙を知っていただくとか、さらに海外までどんどん広がっていければありがたい」と諸吉さんは期待を寄せている。

隠れた手仕事にスポットを当てた佳子さまのご訪問。
鳥取の工芸品がこれから世界に広がるきっかけになるかもしれない。
(TSKさんいん中央テレビ)