ここ最近、NATO諸国への領空侵犯を繰り返すロシア。 その目的を探ると、ヨーロッパ情勢の緊迫度が見えてきます。
ロシア製おとりドローンが領空侵犯
ウクライナと国境を接するNATO加盟国・ポーランドで撮影されたロシア製のおとりドローン「ガーベラ」。

ポーランドは9月10日、ロシアが領空を侵犯し、NATO諸国と協力して撃墜したと発表。 侵入した19機のドローンのほとんどはベラルーシから飛来したといいます。
ロシアは、ポーランド領内を狙ったことはないと主張していますが……。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
位置関係をみてみますと、ポーランドはベラルーシの西にあり、ウクライナは南に位置していて方向が全く違います。 ロシアがわざとおとりドローンを使ってポーランドにちょっかいを出しているようにみえます。
共同演習で核・非核両用の弾道ミサイルを展開
ポーランドは、「ロシアの無人機は意図的にポーランドを狙った」と警戒感を露わに。
では、その目的は?

ポーランド領で撃墜された「ガーベラ」は、発泡スチロールとベニヤで作られたもの。 相手の対空ミサイルなどを無駄撃ちさせ、防空網にほころびを作る事が役割です。
そして、その先のロシアの狙いを感じさせる動きも。

今回「ガーベラ」が ポーランドの領空に侵入した後に、ベラルーシと共同演習をしたロシアが核・非核両用の弾道ミサイルを展開したのです。
その場所は、ポーランドの北に位置するロシアの飛び地、カリーニングラード。

能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
展開されたミサイルの射程は600キロとされます。 性能上は、ポーランドの全域とバルト3国が射程に入ることになります。

さらに緊張を高める動きもあります。 ベラルーシが、「オレシュニク」ミサイルの移動式システムを展開させたと発表。 ほぼヨーロッパ全域が入る射程3000キロ以上とされています。
NATOはラファール戦闘機をポーランドに派遣
ロシアの領空侵犯を受け、NATOはポーランドに戦闘機や軍艦を派遣。

なかでも注目されたのが、フランスのラファール戦闘機。機体にある「4-IE」の文字は、超音速核巡航ミサイルを発射できる可能性を示しているといいます。
能勢伸之フジテレビ特別解説委員:
ヨーロッパでは、ロシア対ウクライナのみならず、ロシアとNATOヨーロッパがまるで核兵器の影をちらつかせ合う事態になっていたのです。
ウクライナを飛び越えつばぜり合いが進むロシアとNATO。ヨーロッパで緊張が高まっています。
(「イット!」9月21日放送より)