長崎をご訪問中の天皇皇后両陛下と愛子さまは13日、被爆者と交流された。両陛下は長崎県美術館で作品展をご覧になり、切り絵の実演の繊細な技に関心を寄せられた。愛子さまは2日間の日程を終えられ、一足先に長崎を後にされた。(記事最後に両陛下のご感想全文掲載)
被爆者との交流「つらい思いをされたましたね」
両陛下と愛子さまは13日午前、長崎市三ツ山町の恵の丘長崎原爆ホームを訪問された。

施設には2025年8月1日時点で、344人の被爆者が入所している。

ご一家は、2歳から18歳で被爆した入所者8人と懇談された。
腰をかがめて目の高さを合わせ、被爆当時の状況や施設での暮らしなど約30分、一人一人の話に熱心に耳を傾けられた。

そして「つらい思いをされましたね」「お大事になさってください」などとねぎらいの言葉をかけられ、握手を交わされる場面もあった。

小川ハツヱさん(84)は「『大変でしたね』と仰っていただいた。感激している」と話し、春野ハルさん(98)は「3人でみえたからうれしかった。核兵器がないように、みな仲良くもう絶対戦争が無いように、と思いますね」と話した。
愛子さま「記憶に残る充実した2日間」
その後、愛子さまは一足先に長崎を後にされた。

愛子さまにとっては初めての長崎ご訪問だった。

関係者に「あっという間の2日間でした。初めての長崎は印象深く、記憶に残る充実した時間でした」などと声をかけれられていた。
文化に触れた両陛下 繊細な技に関心寄せられる
両陛下は13日午後、長崎市の長崎県美術館で「全国障がい者作品展~アール・ブリュット展~」をご覧になった。

鳥の目線で街を描いている五島市の原塚祥吾さんに「本当に細かく書かれていますね」などと声をかけられた。
原塚さんは「これからも頑張って描き続ける」と、感激していた。

また、両陛下は熊本県の渡邊義紘さんの切り絵の実演を見学された。下絵なしで一筆書きのように恐竜などを切り抜く繊細な技に「不思議ですね」「よくつながっていますね」などど声をかけられ、大いに感心されていた。

その後、両陛下は14日の「ながさきピース文化祭2025」開会式ご出席のため、佐世保に到着された。
愛子さまも「戦争の悲惨さや平和の大切さについて思いを新たにしたものと思う」
13日の行程を終え、宮内庁を通じて両陛下からの感想が紹介された。(以下、全文)

きょうは午前に「恵の丘長崎原爆ホーム」を訪問し、入所者の方々と懇談しました。このホームは、原爆で大勢の生徒さんを亡くされた純心女子学園のシスター方が、生徒さんたちの慰霊のためにその生徒たちに代わって原爆で傷つかれた方々を迎え、幸せな生活を送ることができるよう願って作られ運営されてきた原爆ホームと伺い、感銘を受けました。
原爆で大変な思いをされた入所者の方々が、今このホームで穏やかな日々を送っておられることに安堵(あんど)し、嬉しく思いました。入所者の方々からは、被爆体験やその後の様々な困難、また、そうしたご苦労を乗り越えてこられたお話も伺いました。

私たちと一緒に愛子も熱心に耳を傾けて入所者の方々のお話を伺っており、みなさんが経験された大変な苦難の一端に触れることを通じて、戦争の悲惨さや平和の大切さについて思いを新たにしたものと思います。
また、午後は長崎県美術館を訪問し、第25回全国障害者芸術・文化祭の「全国障がい者作品展~アールブリュット展~」を鑑賞しました。出展された作家の方々が描かれた色彩豊かなアクリル画や精緻な鳥観図、独創的な切り絵について、それぞれ集中力を要する制作過程と出来上がった作品の繊細さや美しさが深く心に残りました。また、作家の方々やご家族から作品の特徴や工夫したところなどを伺い、作家の皆さんの作品制作にかける情熱を肌で感じることができました。全国障害者芸術・文化祭をはじめとする様々な催しを通じて、障害のある方々が制作された作品の素晴らしさがより多くの人々に知られるようになることを願っております。
きょうは雨も降る蒸し暑さの中、多くの県民の皆さんに温かく迎えていただいたことに感謝いたします。あすの国民文化祭事業「みんな集まれダンス&ダンス」や「ながさきピース文化祭2025」開会式を楽しみにしています。
(テレビ長崎)