神戸・元町の商店街を酒気帯び運転で暴走し、助手席に乗っていた当時82歳の妻を死亡させ、衝突した車の運転手にけがをさせた罪などに問われた88歳の被告の男に対し、神戸地方裁判所は懲役3年執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。

事故当時の状況
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神戸地裁は判決理由で「飲酒した上、妻を車で勤務先に送迎する必要性や緊急性は認められない。アクセルペダルを不用意に強く踏み込み300メートルに渡り走行する運転態様は危険で、貴重な生命を奪われ、結果は重大」と指摘した一方で、「死亡した妻が被告の飲酒運転を認識していた可能性を否定できず、一定の落ち度がある」と説明した。

神戸地裁10日の法廷
神戸地裁10日の法廷

■裁判で太森被告は「飲酒運転はダメだと分かっていたが、食事のときに時々飲む習慣があった」と話す

神戸市の無職の被告の男(88)は去年3月、神戸市中央区の元町商店街を時速90キロから100キロで、酒気帯び運転をして車などに衝突し、運転手にけがをさせたほか、助手席にいた妻(当時82歳)を死亡させた罪に問われている。

太森被告は起訴内容をおおむね認め、これまでの裁判で「飲酒運転はダメだと分かっていたが、食事のときに時々飲む習慣があった」と話していた。

事故当時の防犯カメラ映像
事故当時の防犯カメラ映像

■検察側 懲役4年求刑「血液からは基準値の2倍を超えるアルコール」「尊い生命が失われたという結果は極めて重大」指摘

検察側は「被告から採取した血液からは基準値の2倍を超えるアルコールが検出されている。まさに酒気帯び運転の危険性が現実化したものといえ、犯行態様は危険で悪質であって、強い非難に値する」と指摘。

事故があった元町商店街
事故があった元町商店街

また「同乗していた妻は事故当日も元気に働いており、今後も実りある老後生活を送るはずであったのに、被告の過失によりその生命を絶たれたものである。突如として生命を絶たれてしまうことへの無念さが大きかったであろうことは容易に想像できる。人一人の尊い生命が失われたという結果は、極めて重大である」などとして、懲役4年を求刑していた。

事故現場に残った傷
事故現場に残った傷
関西テレビ
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