俳優の大東駿介さんが、訪れた街のうんちくや、まだ地元住民にも知られていないような魅力を探す「発見!てくてく学」。
今回の舞台は兵庫県・淡路島です。
【大東駿介さん】「淡路島よく来ますよ。よく来すぎてガイドマップで見るようなところは行き尽くしちゃってる」
大東さんもよく訪れているという淡路島ですが、今回はガイドマップには載っていない、地元の人だけが知る名物の秘密を探っていきます。
明石海峡大橋をバックに、淡路島の玄関口「岩屋エリア」からスタートです。
■「生しらす」が名物になったのは15年前
淡路島の名物といえば「生しらす」。
実は、兵庫県はしらすの漁獲量が全国ナンバーワンで、30%以上のシェアを誇っています。
【大東駿介さん】「食べたことあります。淡路島はしらすで有名なんですか、知らなかった」
特に淡路島の生しらすは特産品として知られ、4月下旬から11月末までの期間限定で、島内の63店舗が様々な生しらす料理を提供しているとのことです。
グルメやショッピングが楽しめる「淡路島タコステ」で、1日300食も売れているという生しらす丼を前に、大東さんの目が輝きます。
【大東駿介さん】「美味しい。たまらん、贅沢な…」
しかし、意外にも生しらすが名物になったのはわずか15年前のことでした。
なぜ名物になったのでしょうか?
生しらす丼を勢いよく完食した大東さん。
その勢いのまま、「岩屋商店街」へと足を運びました。
■地元の人も知らない?急に「生しらす」が有名になったわけ
【大東駿介さん】「映画のロケ地みたいですね」
昭和レトロな商店街で訪れたのは、明治創業の老舗和菓子店。
淡路島の藻塩を使った「藻塩大福」を味わいながら「生しらす」の謎を探ります。
【和菓子店 スタッフ】「漁港が近くにあるので、新鮮さがいいんですかね」
【大東駿介さん】「なんでなんやろ、15年前から急に…」
【和菓子店 スタッフ】「たしかに、急にやね」
地元の人も意外と知らない、名物になった理由。
すぐ近くの岩屋漁港で、漁協の菱谷さんに聞いてみると、15年前に「道の駅あわじ」から「生しらす丼」を出さないかと提案されたといいます。
■あえて“冷凍”!?80点の生しらすを目指すワケ
なぜその際に、新鮮な生しらすを「冷凍」にしたのでしょうか。
【菱谷さん】「しらす漁をしていいのが月・火・木・金の4日間なんです。となると、生のしらすを新鮮な状態で出そうとすると、4日間しか出せない」
生しらすは鮮度が命で、水揚げされた日の夕方になると味は半減してしまうそうです。
しかし、観光客が多く訪れる土日にも新鮮な生しらすを味わってもらいたいという思いから、あえて冷凍することにしたんです。
【菱谷さん】「『80点以上』をキープしてお客さんに食べてもらえればって」
漁師はしらすの鮮度を守るため、網で引き上げたらすぐに船の上でキンキンに冷却。
そして買い付け担当が生しらす丼に適したものをセリで目利きし、すぐに持ち帰って冷凍作業に入るという完璧な連携プレーが行われています。
【大東駿介さん】「そういう苦労があって、淡路島の名物になったんですね」
努力を重ねて生しらすを有名にした背景には「生しらすをきっかけに淡路島の魅力をもっと知ってほしい」という地元の方々の気持ちが込められていました。
■日本一甘い玉ねぎを目指すブランド玉ねぎ「蜜玉」
淡路島といえば「玉ねぎ」も有名です。
淡路島の玉ねぎは稲作との二毛作で、6月に玉ねぎを収穫した後すぐに田んぼへと変わります。
これは100年以上続く伝統的な栽培方法だそうです。
1年を通して温暖な気候と、海のミネラルを豊富に含んだ土壌によって、甘くて柔らかい玉ねぎが作られるのです。
そんな中、大東さんが訪れたのは2012年創業の「2525(ニコニコ)ファーム」。
【大東駿介さん】「あるやん!パンパンの玉ねぎ。立派な玉ねぎ、ソフトボールくらいあるで」
阪急オアシスなどのスーパーや百貨店でも売られているブランド玉ねぎ「蜜玉」を作っています。
「蜜玉」は名前の通り、甘さが売りだそうです。
■「玉ねぎで味が変わり感動」ラーメン店から異例の転身
「2525ファーム」の代表・迫田さんは、「日本一おいしい玉ねぎを作りたい」という想いを持って淡路島に移住。
全くの未経験から玉ねぎ農家に転身した異色の経歴の持ち主でした。
【2525ファーム 迫田さん】「元々ラーメン屋で勤めていました。ラーメン屋って1日スープに玉ねぎをたくさん入れるんですけど、そのラーメン屋の時に淡路島で買ってきた玉ねぎを入れたら、ちょっとスープの味が変わって、感動したんです。それから玉ねぎを作りたいと思うようになりました」
その想いの強さは大東さんにも伝わりました。
【大東駿介さん】「僕は好きな野菜は何って言われたら『玉ねぎ』って答えます。いまドラマの現場で、こんな小学生みたいな話してるのかって思われたくないですけど、『好きな野菜は?』ってしてて『玉ねぎ』って言ったんですよ」
独学で5年の歳月をかけて確立した「蜜玉」は、いまでは全国区へと成長しました。
【大東駿介さん】「玉ねぎ好きですけど、そんなに違い出ますか!?」
■「レンチン」で食べると甘みとうま味が爆発!
「蜜玉」のおすすめの食べ方は「レンジでチン」で、時短なだけでなく、栄養が逃げずに甘みもさらに増すとのことです。
早速試食してみます。
【大東駿介さん】「すごい。ほんまですか?噛んで出てくるのが『だし』で、噛めば噛むほど『うま味』に変わっていきますね」
さらに甘いのが中心部だということで、食べてみると…
【大東駿介さん】「ハハハ、こんなにちゃう!?圧倒的に一言目の感想が『甘い』です。もう甘みがじわっと出てきます」
素材そのままの美味しさに感動です。
■甘くするためにあえて「ストレス」を
えぐみが少なく、甘みがダイレクトに伝わる「蜜玉」は「肥料にこだわる」ことで生まれたといいます。
【2525ファーム 迫田さん】「『100%ビール酵母の液体肥料』を使って根っこを張らせる。ストレスを与えるんです」
ビール酵母を与えると、玉ねぎが「病気が来た」と勘違いし、生き残るために必死に頑張るそうです。
そうすることで甘みが増す驚きの効果があるということです。
【2525ファーム 迫田さん】「試行錯誤でまだ全然納得いってないんです」
淡路島の魅力は、単に美しい海や橋だけではありません。
生しらすも玉ねぎの「蜜玉」も、島の人々の創意工夫と情熱から生まれた淡路島の新しい宝物でした。
(関西テレビ「newsランナー 大東駿介の発見!てくてく学」2025年8月28日放送)