全国でクマの出没や人への被害が急増していますが、2025年度のクマ被害による死者数は13人と過去最悪になっている状況です。
身近に迫る危険をどのように回避すればいいのでしょうか。
そもそも世界に存在するクマは8種類です。
実は、ジャイアントパンダもそのうちの1つです。
他には、北極圏に生息するホッキョクグマや北米に生息するアメリカクロクマ。
さらに、インドやスリランカなど南アジアに生息するナマケグマや東南アジアの熱帯雨林にいるマレーグマ、目の周りの白い模様が眼鏡のように見えるメガネグマがいます。
そして日本に生息するのが、ツキノワグマとヒグマの2種類なんです。
このツキノワグマとヒグマは、どう違うんでしょうか。
クマの生態に詳しい岩手大学農学部の山内貴義准教授は、「ヒグマは北海道のみに生息している。本州以南、九州をのぞいた本州と四国に生息するのがツキノワグマ」と説明してくれました。
そして山内准教授によりますと、ツキノワグマの体重は40~120kgで、体長は100~140cmほどです。
主食はブナの実やドングリなどをよく食べて、慎重で臆病な性格だということです。
一方ヒグマは、体重は100~300kgとツキノワグマよりも重く、体長も140~200cmほど。
ヒグマも基本的には植物を食べるんですが、サケやマス、昆虫なども食べるということです。
そして、過去に牛66頭を襲い続けて“怪物ヒグマ”として日本中を震撼(しんかん)させたOSO18や、体重約400kgと規格外の大きなヒグマも発見されているわけなんです。
ともに臆病な性格ということなんですが、2025年度の死者の数はヒグマによるものが2人、ツキノワグマによるものは11人に上っています。
ツキノワグマによる被害が増えているんですが、専門家はヒグマにも引き続き警戒が必要だといいます。
クマの生態に詳しい岩手大学農学部・山内貴義准教授:
ヒグマも今年やっぱり多い。農作物はじめ人身被害もかなり多い。実際に死亡事故も何件か起きていて、ヒグマもかなり危険な状態と思う。ツキノワグマ、例えば岩手や秋田は非常に高密度状態で生息する場所もあるが、(北海道は)密度がそれほど高くないので、件数としては上がってこない。ただ、重大なインパクトのある事件・事故が発生しているのでヒグマも警戒が必要。
過去最悪のクマ被害となっている日本。
環境省は7日、警察OBにも狩猟免許取得の呼びかけを行うことを明らかにしました。
石原宏高環境相:
ハンター、ある意味ボランティア。だんだん高齢化しているので、しっかりと緊急銃猟ができる人材確保をしていかなければならない。
一方で、山内教授はクマの駆除の難しさについて「クマを捕獲すること自体、実はかなりテクニックがいる。わなの捕獲率って高くなくて、おそらく2~3割ぐらいなんですよ捕獲率って。わなで捕まえるのは、クマも非常に警戒心強いですし、餌でおびき寄せるので餌入れておけばすぐ入るようなイメージが普通の人だとあるが、なかなかそうはいかない。非常に警戒したり、場合によっては全く近づかなくなってしまったりするので、その辺は猟友会というかハンターの腕の見せどころ、技量が高い人の方がうまく捕獲することができます」と指摘します。
青井実キャスター:
クマの駆除、難しいみたいですね。
SPキャスター・中村竜太郎氏:
野生動物ですから動きがよく見えないこともありますし今回、自衛隊とか警察も駆除に出動することになったわけですけれども、慣れているわけではない。ですから、市街地で我々が被害に遭う可能性が出てきたということを念頭に入れて行動をする必要があると思いますね。
遠藤玲子キャスター:
クマの習性とすると、冬眠もそろそろすると思うんですけどしないんですかね?
青井実キャスター:
その辺り、専門家によりますと、人の食料に依存しているクマは早くても年内までは冬眠しない。12月末ぐらいまではクマの被害は続きそうだということです。