11歳の「画家」長野県原村の小学6年生・堀之内聖さん。4歳の頃から動物や自然の絵を描き続け、国内外のコンクールで入賞経験もあります。今、地元・八ヶ岳美術館で企画展を開いています。

■カラフルでいきいきとした動物たち

オオカミにライオン。たてがみにはたくさんの動物が。カラフルでいきいきとした動物たちの姿。

これらを描いたのは―。

堀之内聖さん(11):
「見ていた画像がAIで、AIは少し関節が違ったりして、ここらへんで全部消してやり直した」

堀之内聖さん11歳。原村の小学校6年生です。

地元・八ヶ岳美術館では今、聖さんにとって初の企画展「いっしょに生きる私たち」が開かれています。

諏訪市から:
「色の使い方とかが個性的でかわいくていいなと思って。発想が違う、ちょっとしたところを捉えるところがきっと楽しくてすてき」

堀之内聖さん:
「(見て)終わった後、楽しかったと言ってもらえるとうれしい。動物の素晴らしさや面白さを知ってもらいたい」


■4歳の頃に運命の出会い

2014年、体重1608グラムといわゆる低出生体重児で生まれた聖さん。その後、すくすくと成長しましたが―。

母・通子さん:
「不機嫌だったんです。とにかく、赤ちゃんなのに、笑わない赤ちゃんっているんだ」

子どもがかんしゃくを起こすのはよくあることですが、ときに母親の服を噛みちぎるほどで、「度を超えているのでは」と家族も心配したそうです。

ただ、4歳の頃―。

母・通子さん:
「運命の出会い、恐竜。頭の中は恐竜でいっぱい」

「恐竜」に恋をした聖さん。絵を描き始めました。しかも、周囲が驚くほどの集中力で。エネルギーが注ぎこまれ、感情の爆発は減っていきました。

母・通子さん:
「好きなものができるということはすごい強い力だと感じた。ずっと観察してて自分が没頭できるものがあると、人は穏やかになるのかなと」


■母親「絵が一番多くを語る」

その後、もともと好きだった動物の絵も描き始めます。

堀之内聖さん:
「ライオンを描くのが一番好き。好きな動物だから」

4歳の頃から描き続けている絵。今も学校から帰ると毎日1時間から2時間は絵に没頭します。

母:
「それ真っ黄色?」

堀之内聖さん:
「ピンク少し入れた」

母:
「ピンク少し入れたんだ。いいんじゃない、色かわいい」

自分の思いや考えを言葉にするのが少し苦手な聖さん。傍で見守ってきた母親の通子
さんは―

母・通子さん:
「(絵は)メモみたいな代わりなんですよね。これが一番おしゃべりで多く語っている。自分で自分のことを幸せにできる知恵をつけている最中なんだろうな、みたいな見方なので」


■国内外で高い評価

素直に感じたままを描いた絵は国内外のコンクールでも高い評価を得ています。

第15回中村キース・へリング美術館国際児童絵画コンクール 北杜市長賞受賞、第9回国際児童絵画コンクールCreative Kids Indiaジュニア部門金賞受賞。

2024年11月には安曇野市の画廊で初の「個展」も開きました。

聖さんが絵を描くのは大好きな動物を救いたいという思いもあります。

堀之内聖さん(2024年11月):
「絵を売ったらお金が寄付できるから、それを(動物の)保護団体に寄付する。(挑戦したいことは?)大きい絵を描きたい。(将来の夢は?)動物を救う有名な画家です」


■美術館から声がかかり、企画展を開催

7月5日から地元・八ヶ岳美術館で始まった企画展。聖さんの絵を展示したいと美術館から声がかかりました。

堀之内聖さん:
「ここまで私が来られたのは、ここにいる皆さんの支えがあったからだと思います。本当にありがとうございます。これからもたくさん支えてもらうことがあると思います。今後ともよろしくお願いします。何よりもきょうは『いっしょに生きる私たち』を楽しんでください」

初日は144人が鑑賞に―。

会場には2023年から2025年にかけて描いた80点が、昼の動物と夜の動物に分かれて展示されています。


こちらは「聖樹」と名付けた作品。縦横1メートル以上の大きなキャンバスに大木が描かれていますが、幹や枝は「動物」です。

堀之内聖さん:
「大きいキャンバスには1本の立派な木を描きたいなと思って、そしたら(母と)一緒に思いついた。幹1本1本を動物の柄にしたらいいと思って」

これほど大きなキャンバスに描いたのは初めてでした。

堀之内聖さん:
「幹一本ずつ、動物を1匹ずつ調べたり、写真を見たりするから、それで時間を使って、全部で56種類だから大変だった。大変だったけど、終わった後の達成感が気持ちよくて」

鑑賞に訪れた人は―。

山梨から:
「好きなことが充実している6年生、素晴らしい。色がきれいだし、パワーがあって」

東京から:
「見に来てよかった、色使いが生き生きしている。『まったりチーターズ』、柔らかい感じの絵がすごくよかった」


今回の企画展では様々なイベントも―。

美術館の入り口には「自分が動物だったら」をテーマに地元の小学生が描いた絵も飾られています。現在も募集中。

また、グッズの販売も―。

売上げの一部は絶滅危機の動物を救うため寄付するということです。

企画展は9月15日までで、期間中、聖さんのライブアートも企画されています。


■「動物を救う有名な画家になりたい」

母・通子さん:
「皆さんから『どういう意味でこの絵を描いたのか』と言われるのが難しいらしくて、そんなに意味を込めて描いていない、ただ動物が好き、絵を描くのが好き、こういう色を使いたい、画材を使いたいというのが形になっている。だから意味を聞かれるのが難しいんだよね。だから、自分の言葉で受け答えができるようになればいい。このまま自分の速度で成長すればいい、普通では経験できないことなので楽しんでほしい」

堀之内聖さん(11):
「これから楽しみです、いろんなイベントやっていく中で楽しみです。これからは動物を救う有名な画家になりたくて、いろいろな画材を使ってチャレンジしていきたい」

長野放送
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