イスラエル軍は100万人が避難している最大都市ガザ市への制圧作戦を始めました。

こうした中、食料不足が深刻化するガザ地区。
空中からの支援物資投下だけでなく、陸路による物資の支援も行われています。
ただ、その数は全く足りていないのが現状です。

国連によりますと、ガザ地区には少なくとも1日500台の支援物資を積んだトラックが入る必要があありますが、5月19日以降、3カ月間で3553台。
1日あたり約40台という計算になります。

取材をしている加藤崇記者によりますと、目的地にたどり着けず9割近くのトラックが略奪されていて、人道支援が事実上崩壊しているということです。

さらに、十分ではない量の食料を求めて市民が殺到して犠牲者も増えています。

空中投下された支援物資を取ろうとして2024年から23人が死亡したほか、食料の配給所に市民が集まって、その市民に対してイスラエル軍が発砲するなどして1000人以上の死者が出ているということです。

青井実キャスター:
野村さん、空でも陸路でも、それでも足りていないと。

中央大学法科大学院・野村修也教授:
この地域というのは、戦闘をしているのは実はハマスというテロ組織なわけですが、それが地下にこもっていて、実は人間を盾にしている、一般の人を盾にしているわけです。したがって悲惨な状況が続いてくるわけですが、人道的な観点からみれば、やはり休戦をしっかり行って、食料を運ぶということをできるようにしないといけないですよね。

市民に影響が出ている中ですが、最近の戦闘の状況を見ていくと、イスラエルのネタニヤフ首相は「戦闘終結に向けた交渉を即時開始する」と発表しています。

初めて「戦闘終結」という言葉を使ったため和平が訪れるのかと思いきや、実際はそう簡単ではなさそうです。

イスラエル政府が戦闘終結の条件として決定したのは「ハマス側の武装解除」、そして「ガザ地区の非武装化」ということで、ハマスに完全降伏を求めるような内容でした。

加藤記者によりますと、「イスラエルの要求をハマス側は拒否していて、結果、戦闘が激化し、市民の犠牲は増えることになるだろう」ということです。

青井実キャスター:
ハマス側は拒否するしかないわけですから、こうなってきますと。ただ、一方で戦闘に関係がない市民の生活が悪化していくというのが、これが一番心配なわけですね。

中央大学法科大学院・野村修也教授:
とにかく平和をもたらさなければいけないわけです。そのためには、とにかく和平交渉を進めなければいけないわけですけれど、当事者では、自分に有利な条件しか出し合いませんので、仲介をしていくことが非常に重要だとは思います。一方で、例えばフランスとかイギリスとか、あるいはカナダなどは、いわゆるパレスチナを国として承認するということを言うことによってプレッシャーをかけてはいるわけですが、逆にそれはイスラエルをちょっとかたくなな状況にさせていますので、この辺り、エジプト辺りが仲介に入っていくことが必要なんじゃないかと思います。

イスラエルの変わらずの強硬策が変わっていくのか、引き続き注視していきたいと思います。

FNN
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