8月も後半ですが厳しい残暑が続いています。様々な農作物にも影響を及ぼす暑さの中、冬のイメージが強いイチゴを、この真夏にも栽培している工場があります。いったいどういうことなのか取材しました。
矢崎エナジーシステム環境システム事業部
末満歩夢さん:
けさとれたイチゴです
浜松支社・落合健悟 記者:
すごく甘い。普通のイチゴより甘い
冬から春にかけて旬を迎えるイチゴ。
この日の静岡県浜松市の最高気温は34℃と猛暑日に迫る暑さでしたが、こちらのハウスでは赤く色づいたイチゴが実っていました。
この真夏にイチゴのハウス栽培を行っているのは自動車部品や空調機器メーカー、矢崎総業のグループ会社・矢崎エナジーシステムの浜松工場です。
矢崎エナジーシステム環境システム事業部
末満歩夢さん:
工場で出た廃熱や太陽熱を収集する機械があり、熱をアロエース(空調設備)に入れると冷水が作られるのでそれを利用してハウスの中の空間・培地冷却をしている
ハウスの冷却に使用しているのは自前の「アロエ―ス」という空調設備。
工場の廃熱と太陽熱、それに地下水を利用して約7℃の冷水を生成しています
矢崎エナジーシステム環境システム事業部
末満歩夢さん:
1年中“常春”ということで春を再現している。土の下に冷水を通して土の中を冷やす
室温を一定に保ち、土を冷却。
室内の明るさも時間帯によって変えています。
イチゴは暑さに弱く夏に栽培する場合には温度管理などの費用がかさむため農家も手を出しづらいそうですが、廃熱を利用することなどで燃料代を抑えることが可能になりました。
植えられている「よつぼし」という品種は糖度の高さが特徴。
種から育てる種子繁殖型のため病害虫のリスクも低く、環境が整えば1年中収穫することが可能です。
年々脅威を増す夏の暑さ。
農作物への影響も大きくなっているなか、矢崎総業は人工的に気候をつくるこのシステムを確立し、農業が抱える課題を解決していきたいと考えています。
矢崎エナジーシステム環境システム事業部
末満歩夢さん:
暑さが過酷になっている中、食物がとれない国や地域もある。その方々に食料を届けられる技術にしていきたい
いまはまだ実験段階ということですが、今後イチゴ以外の栽培も検討しています。
気候変動による影響を技術力で乗り切ろうというこの取り組み。
農業を救う一手となるのか注目です。