北信濃の夏の味、今が旬の「ぼたんこしょう」。今年(2025年)は猛暑と雨の少なさでやや小ぶりとなりましたが、味は問題なくあの辛さは健在です。
たわわに実った「ぼたんこしょう」。北信濃で栽培されている信州の伝統野菜です。
トウガラシの一種で刺激的な辛みが特徴です。
今、旬を迎えています。
中野市の畑で岸本気象予報士が収穫に挑戦しました。
岸本気象予報士:
「保存会会長の大内さんに、ぼたんこしょうの採り方を教わっていきます。よろしくお願いします」
教えてくれるのは「斑尾ぼたんこしょう保存会」会長・大内ふじ子さんです。
斑尾ぼたんこしょう保存会・大内ふじ子会長:
「(採り頃は)持ってみて、かたい。それと輝きが出てくる」
早速、挑戦!
岸本気象予報士:
「あ、大きいですね、これ。切っていきます」
「採れました。大きいぼたんこしょうです」
岸本さん、なぜ、この名前になったのか気になります。
大内会長:
「ここが『ボタンの花』に似ているから、『ぼたんこしょう』」
岸本気象予報士:
「ぼくてっきり、『洋服のボタン』だと思ってたんですけど」
大内会長:
「(笑)『ボタンの花』です」
このほか、丸みを帯びて「ぼたっ」としていることから名前が付いたとの説もあるそうです。
信州3年目。まだ、ぼたんこしょうを味わったことがない岸本さん。生でも食べられるということで―。
岸本気象予報士:
「いただきます。すごく辛いんだと思ったんですけど、周りの部分はピーマンとかパプリカとかそういう味がします、甘みもしっかりありますね」
大内会長:
「一番辛くないところをかんでもらったんですけど、この間の筋がとても辛いんです」
岸本気象予報士:
「辛いところもいただきますね」
「ああ!おお!!辛い!うわー!全然違いますね」
大内会長:
「割ってみるとこういうふうになっている。これが『隔壁』、それが種の元から分かれているので、ここだけ辛みが伝わっている」
今年は猛暑が続き雨が少ない夏になりました。影響は?
大内会長:
「粒が小さい、ぼたんこしょうが小さい。(例年は)一回り大きい」
岸本気象予報士:
「それはやっぱり雨が少ないのが影響している?」
大内会長:
「だと思うんだ」
岸本気象予報士:
「2025年はすごく暑かったと思うんですが、気温は影響するんですか?」
大内会長:
「影響します。やっぱり、ぼたんこしょうは涼しいのが好きなので」
冷涼な北信濃で栽培されるぼたんこしょう。今年は、少し小さく、一部に「日焼け」が起きているということですが、味は例年通りで問題ないということです。
この日、地元・中野立志館高校の生徒も収穫を体験していました。生徒たちは、授業の一環で、栽培から収穫、そして、商品開発などを行っています。
岸本気象予報士:
「自分で育てたぼたんこしょうが商品になるのがモチベーションに?」
中野立志館高校3年・平田愛菜さん:
「最初、ぼたんこしょうって何だろう?からみんな始まって、実際にこうやってできているのを見ると、うれしくなりますね」
さて、収穫の後はお待ちかねの料理。まずは郷土食の「やたら」です。細かく刻んだぼたんこしょうと漬物、みょうがなどを混ぜ合わせます。
こちらも郷土食の「油味噌」。ナスと一緒にみそで炒めます。どちらもご飯のお供にぴったりです。
そして、もう一品。採れたてのぼたんこしょうにみそや砂糖を入れて「丸焼き」に―。
北信濃の夏の味です。
まず「やたら」を―。
岸本気象予報士:
「シャキシャキした食感が最高ですね。辛すぎず、辛くなさすぎず、夏にもちょうどいい味になっている。おいしい」
岸本気象予報士:
「次は『油味噌」いただきます」
「しっかり炒めてあるので、ぼたんこしょうの味がすごくまろやかになっていると思います。みそともすごく合いますね」
辛みを直接感じられる「丸焼き」は?
岸本気象予報士:
「あー、辛くなってきた辛い。辛いですけど、さっき生でかじったときよりは焼くことでマイルドになっていると思います。甘さも感じられておいしいです」
高校生も―。
岸本気象予報士:
「皆さんお味はどうですか?」
生徒:
「おいしいでーす」
中野立志館高校3年・宮田玲美さん:
「『やたら』は、さっぱりしていておいしいよね」
中野立志館高校3年・土屋衣吹さん:
「夏にピッタリだなと思います」
ぼたんこしょうの商品開発にも挑戦している高校生たち。ヒントになったようです。
中野立志館高校3年・土屋衣吹さん:
「辛いのを生かせるので、おにぎりとかが一番おいしいかなと思いました」
中野立志館高校3年・小山燦さん:
「ごはんはすごく合うから、お弁当にもいいし、『やたら』は、お茶漬けとかもいいなって」
岸本気象予報士:
「これを機に若い子たちにも食べてほしいですよね?」
中野立志館高校3年・小山燦さん:
「(若い人にも)広まってほしいですね」
近年、大手コンビニなどがぼたんこしょうを使った商品の販売などを行い、その魅力が広まってきています。
ただ、農家の高齢化も進み保存会では現在10人ほどまでに減少。収穫量の確保が課題となっています。大内さんら保存会のメンバーは高校生の活動などを通して興味を持ち栽培に取り組む人が増えればと期待しています。
斑尾ぼたんこしょう保存会・大内ふじ子会長:
「伝統野菜ということで広めてもらえることはとてもうれしい。幅広くいろんなメニューを考えているようなので、いろんな人に食べてもらいたいと思います。畑をいくらでも貸せるので、ここにきて作ってくれれば一番いい」
ぼたんこしょうの旬は9月いっぱいまで続きます。