草むらに現れたのは…クマ役。
ハンターに町の担当者が駆除を要請。

「土手から下に撃ち下ろすような形で。高校や住宅があるので極力注意してください」(北海道下川町の担当者)
8月21日、北海道上川地方の下川町で行われたヒグマ駆除のための新制度「緊急銃猟」の訓練。
住宅近くにクマが出没したという想定で、市町村の判断でハンターが駆除する流れを確認した。

9月から“緊急猟銃”の制度がはじまるが…
これまで市街地では、人に危険が生じているとして警察官がハンターに命じた場合などを除き、原則できなかった猟銃駆除だが、9月からは緊急性があり、猟銃以外では駆除が困難で、安全が確保できているなどの条件を満たしていれば、市町村長の判断でハンターが撃てるようになる。
訓練に参加したハンターは。

「見えていて一番いい状況で撃たせてくれればいいんだけど、段取りするのは簡単じゃない。『いい』と言われたから撃てるかといったら、(ハンターが)無理だと思ったらやめたほうがいいと思う」(ハンター)

準備が進む一方、実効性に疑問符がつく現実も。
「一番心配しているのは(ハンター)自分自身のケガと銃の所持許可(が取り消されること)。自分の銃が所持できなくなるとなかなか恐ろしくて参加できない」(北海道猟友会 齊藤哲嗣専務理事)

羅臼岳の死亡事故など、2025年も北海道ではクマの事故が相次いでいるが、北海道猟友会は、緊急銃猟で発砲を要請されても拒否していいと支部に通知することを検討している。
2018年、砂川市のハンターが猟銃所持の許可を取り消された問題を背景に、「人身事故などが起きた場合、ハンターが責任を問われないよう北海道や国に求めているのに十分な回答がない」というのが理由だ。

訓練に参加した国の担当者は。
「しっかり手順を踏んで安全を確保して、市町村長の判断に基づいてやる場合については(ハンターの責任が問われる)リスクはすごく少なくなるように制度は設計した」(環境省の担当者)

迫る新制度。
ハンターの不安を解消するための時間は、それほど残されていない。
