人気店に密着して秘密を探る『満席メシ』。
今回は、ラーメン通の間で大人気となっているラーメン店「麺鐘馗(めんしょうき)」。北海道のラーメン界に新しい風を吹かせている注目のお店に密着した。
新たな挑戦を求めて―京都から北海道へ
「この店を開店する前は、京都でラーメン屋をしてました。9年間やっていました」(麺鐘馗 店主 中野貴匡さん)
自分の作るラーメンで新たな挑戦がしたかった店主の中野さん。
京都のお店を人に譲り、単身、ラーメン大国の北海道へ。
その噂はラーメン通の間で広まり、開業からわずか3年で、各エリアで最も評価の高いラーメン店を決める「ラーメンWalkerグランプリ北海道」で新店部門1位(2024年)と総合金賞(2025年)を受賞した。

「札幌にはなかった感じを持ってきた」
いま大注目のラーメン店「麺鐘馗」、珠玉の一杯がこちら。
『背脂煮干』

新潟名物の燕三条系ラーメン(背脂煮干)にヒントを得た一杯だ。
「煮干しが4種類と動物系のスープ。背脂は3時間以上炊いて甘みを引き出し、麺は京都から送ってもらっている太麺。札幌にはなかった感じを持ってきたかなとは思います」(店主の中野さん)

仕込み作業に密着
開店3時間前の朝8時から仕込み作業が始まる。
密着したこの日は、限定メニューの仕込みなど約15工程を行った。仕込む量はなんと200食分。
「仕込み自体は3人、その日のスタッフで行います。いつもギリギリです」(店主の中野さん)
チャーシューにはこだわりが。切り置きせずに塊のまま冷蔵保存、オーダーが入ってから1人前をカットしている。
「切り置きすると、酸化してちょっとおいしくなくなるので」(店主の中野さん)

次に、スープの準備に取り掛かる。
「鶏がら、丸鶏、豚のゲンコツを8時間煮込んで、こしています」(店主の中野さん)
続いて、使っている食材のこだわりを聞くと―
「こだわってません。基本的にはこだわってない。どこでも同じ一杯を作れるようにと考えているので、素材とかはあまりこだわらず、オーソドックスなものでおいしいラーメンを作れるように努力しています」(店主の中野さん)

ついに開店!この日一番注文されたメニューは?
いよいよ開店が近づいてきた。店の前には既に行列が。
お店の席数は10席。果たして、どのくらいの時間で満席になるのか。
午前11時営業がスタート。開店とともに続々とお客さんが入店。

一組目のお客さんが注文したのは―
『北海道三大昆布水冷麺』
羅臼、利尻、真昆布の出汁がたっぷり詰まったあっさりスープに、チャーシューは鶏ももと豚肩ロースの2種類。そしてツルっといけるワンタンも入った冷麺だ。8月限定メニュー、夏にぴったりの一杯。
「ミョウガとかシソとかが入っていて、麺は盛岡冷麺風に中華麺を特注している」(店主の中野さん)

そして、開店からわずか6分。あっという間に満席達成。
この日は開店とともに満席になり、14時ごろまで満席を維持し続けていた。
さらにこの日の注文履歴を集計すると、圧倒的に限定の「昆布水冷麺」が多かったという結果に。

注目の人気メニュー“昆布水つけ麺”
そして、背脂煮干に次いで人気だったメニューはこちら。
『余市麦豚北海道三大昆布水つけ麺』
背脂煮干と二大看板のメニュー。3種類の旨みたっぷりの昆布水に浸かった平打ち麺。まずはそのまま麺だけを食べた後につけ汁でいただくという、一度に二度おいしい一杯だ。
「ネット評価を見ていて、これが1番オススメだと出ていた。麺だけでも酸味が効いていて夏にピッタリ。つけ汁に入れても味がしっかりしみておいしい」(初めて来たお客さん)

「週に2、3回」リピーターが足しげく通う理由
密着する中で、「麺鐘馗」人気の理由が少しずつ見えてきた。
「Tシャツが欲しいので頑張ってためてます」(お客さん)
「麺鐘馗」では、食べれば食べるほど特典がついてくる、嬉しいスタンプカードを実施している。
「スタンプカードを作って、サービスをお客さんにしてリピートしてもらう」(店主の中野さん)
「Tシャツとかうれしい」
「常連さんになった気分」
「味がダントツでおいしい。レギュラーメニューもおいしいけど、月限定も毎月の楽しみ」(いずれもお客さん)

そしてこの方の手元には、記念すべきアイテムが。
「40食(スタンプカード2枚)ためたので限定のTシャツをもらいました」
「(Q:どれくらいの頻度で通われている?)週に2、3回くらい。4か月かかりました」(限定Tシャツを持っているお客さん)

そして他にも、中野さんが考えたアイディアが。店内のBGMをよく聞いてみると―
「BGMがサザンオールスターズ。老若男女、耳心地がいいと思うので。ラーメン屋も老若男女の方たちが食べに来る場所ですし、そこはやっぱりよかったかなとは思います」(店主の中野さん)
様々な仕掛けをしながら人気店となった「麺鐘馗」。今後の野望を聞いてみると。
「近い将来、もう1店舗直営で自分でやりたいとは思ってます。どういう形、どういうメニュー構成とかはまだ決まってないですが…。グランプリは、あと2年連続で金賞を取れば殿堂入りなので、最短コースを目指して頑張りたいと思います」(店主の中野さん)
ラーメン好きの間で話題沸騰中「麺鐘馗」に密着してみたら、店主の経験に裏付けされた確かな味と人気の理由を知ることができた。
