愛知県あま市の萱津神社では、“日本でここだけ”という珍しい祭りが開かれています。それが「香乃物祭(こうのものさい)」という、年に1度の“漬物祭り”です。
8月21日に開かれた香乃物祭では、全国から漬物業者らが集まり、かめに野菜と塩を入れて漬物文化の発展などを願いました。「漬物発祥の地」とされる萱津神社で祀られているのは…。
青木知治宮司:
「『鹿屋野比売神(かやぬひめのかみ)』は女性の神様で、全国唯一の漬物の神様。(像が持っているのは)かめです。中にお漬物が彫られている」
しかし、なぜここで漬物が誕生したのか。神社のあるあま市は、大昔は海辺の近くで、野菜と海から採れた塩をかめに入れて一緒に神社にお供えしたところ、偶然にも程よい塩漬けになったのがきっかけとか。
青木知治宮司:
「中をのぞいてみると(野菜が)みずみずしいまま。食べてみると、えも言えぬおいしなものであると」
神からの賜りものとして、お守りになったとのこと。そんなあま市ですが、隣の愛西市では38.5度を記録するなど21日も暑く、熱中症も気になる中、漬物を口にした参拝者は…。
参拝者:
「めちゃくちゃしょっぱいです」
別の参拝者:
「元気が出ます。塩分チャージで!」
青木知治宮司:
「暑い時期になると、塩分は大事なものになってまいります。健康食品としては世界に冠たるものではなかろうかなと思っております」
漬物は、熱中症予防にも有効なのか。食に詳しい専門家に話を聞きました。
名古屋文理大学短期大学部の佐藤生一名誉教授:
「予防として考えるならば、とてもいいんじゃないかと思います」
熱中症対策には水分と塩分。汗をかいたとき水分だけを補給すると、血液中の塩分濃度が下がって体調を崩す原因に。しかし、漬物は野菜に含まれる水分と適度な塩分、おいしく同時に摂取できるということです。
佐藤名誉教授:
「暑いと食欲が落ちますよね。(例えば)漬物でお茶漬けをさらさらと。(塩分の)取り過ぎだけ注意すれば、いい効果が得られる」
漬物での熱中症対策ですが、実は塩分以外にも様々なメリットがあります。佐藤名誉教授によりますと、まず食物繊維が挙げられます。ほかにも、梅干しに含まれるクエン酸や、乳酸なども腸内環境を整えてくれるので、夏バテ予防に効果的です。
ぬか漬けなどにはカリウムが含まれています。不足すると脱水症状を引き起こしやすくなってしまうので、摂れると嬉しい栄養素です。
さらに、ナスの皮などにはポリフェノールが入っていて、抗酸化作用があるため疲労回復・免疫力アップが期待できます。塩分の摂りすぎには注意が必要ですが、漬物には、さまざまな夏バテ予防成分が含まれます。