乳がん検査にAIを活用することで、より精度の高い診断が可能になりました。
「最初の検診でもっと早くわかっていたら…」「がんになるかなと思っていたけど、あ~胸だったんだ」と、これまで抱えてきたつらさや痛みを語るのは乳がんを患った経験のある女性たち。
そのうちの1人は「これからの時代はAIの力を借りて、見逃しがないような乳がん検診になってほしいと心から思う」と話しました。
医療機器の開発を手掛けるスマートオピニオンが慶應義塾大学と共同開発したのは、AIによる新たな乳がん検診「Smaopi」です。
スマートオピニオン・山並憲司社長:
AIがアシストすることによって、より確実な診断につなげる。
これまで、超音波検査の診断は人が判断するため、がんの疑いがある病変を見逃したり疑いがなくても精密検査になる場合があるなど、診断する医師の経験などによりばらつきが出てしまう課題がありました。
今回のAI乳がん検診は8年かけて開発。
乳がん患者の画像5000例以上を記憶させることで、約90%と高い精度で診断が可能になります。
映像に映っている緑色の枠で囲われたのが精密検査不要とみられる部分。赤い枠で囲われたのは精密検査が必要とみられる部分です。
人間が見逃しやすい細かな乳がんの兆候も検出可能で、病変の見直しを防ぐだけでなく余分な検査をしなくて済むことで、患者の不安を軽減し、医療費の削減にもつながるといいます。
また、慶応大学医学部乳腺外科・林田哲教授は、AIのアシストによって「診断に時間をかけてきたが、AIが肩代わりすることによって、人間ならではの診療や説明に時間をかけたり、より患者に寄り添える診察が実現できる」といった効果もあると話します。
近年、乳がんのり患者は急激に増加し、女性の9人に1人が乳がんを発症するともいわれ、大きな社会課題の一つにもなっています。
開発したスマートオピニオンは受診率の向上にもつなげたい考えです。
スマートオピニオン・山並憲司社長:
こういうAI乳がん検診みたいなコンセプトが、いろんな医療機関にも採用され広まっていけば(検診を)手軽に受けられていても、より確実な安心できる乳がん検診になっていくといい。