岩手県滝沢市の一本木中学校で8月18日朝、校舎内にクマが進入する事態が発生した。夏休み期間中だったが、駅伝大会に向けた練習のため登校していた生徒が発見。副校長が身を挺して生徒を守り、幸いにも人的被害はなかった。
防犯カメラが捉えたクマの姿
一本木中学校の防犯カメラには、18日午前8時前、突然現れたクマの姿が映っていた。

クマは玄関前をしばらくうろつき、その後別の方向へ移動した。

映像にはクマを発見した生徒がおそるおそる玄関から様子をうかがう姿や、登校してきた別の生徒2人がクマに気づいて慌てて玄関へ走る様子も記録されていた。
副校長が身を挺して生徒を守る
1頭のクマが校舎に進入したのを発見した生徒は直ちに職員室の教諭に知らせた。
生徒から助けを求められた伊藤伸副校長が現場に駆けつけると、体育館へと通じる廊下に体長1m未満ほどの子グマがいた。

伊藤副校長はとっさの判断で、生徒たちを下駄箱があるスペースへ避難させ、自らがクマの前に立ちはだかった。
「生徒の安全を確保しなければいけなかったので、『隠れていろ』という指示を出しました。自分の安全よりも、まず親グマもいるかもしれないとちょっと心配したので」と伊藤副校長は当時の状況を振り返る。

しばらくのにらみ合いの後、クマは開放されていた廊下の非常口から外へ逃げて行った。
その様子も防犯カメラにしっかりと記録されていた。
野生動物への対策の重要性
一本木中学校は夏休み期間中だったが、この日は駅伝大会に向けた練習が予定されており、発生時には5人の生徒が校舎内にいた。

学校側は当日の練習を中止し、保護者に迎えに来てもらうなどして生徒を下校させる対応を取った。
幸いにも、人や物への被害は一切なかった。
クマの進入経路については、体育館の湿気を逃がすために開放していた非常口からと見られている。

学校側は3日後に控えた始業式に向け、換気は行わず、校舎の窓や入口をすべて閉め切る措置を講じた。
伊藤副校長は「窓の開閉の管理を含めて、もう1回確認しなければと思うし、生徒の登下校も心配なので見守りを可能な限りしっかり対応する」と今後の対策について語った。

クマの出没が相次ぐ地域での生徒を守るための学校の安全対策が急務となっている。
(岩手めんこいテレビ)