夏の風物詩「花火大会」がピンチを迎えています。
人件費や資材の高騰による開催経費の増加を背景に全国約460の花火大会のうち、約3割が過去5年間に中止や規模縮小に追い込まれたという調査結果もあります。
こうした中、日本の伝統文化で地域に活気をもたらす花火大会を守っていこうと、大手企業が支援に乗り出しています。

出雲市民におなじみの夏のイベント『出雲神話まつり』。
8月23日に行われる花火大会が呼び物ですが、今、ピンチを迎えています。

出雲神話まつり振興会・原哲也事務局長:
「単年度では赤字でございます。積立金を崩して対応してきた所ではございますが、(今年度は)その繰越金もほとんどありません」

イベントを主催する「出雲神話まつり振興会」によると、2024年の収支は約2660万円の収入に対し、支出は約2640万円。
前の年度からの繰越金を計上し黒字を確保しましたが、実質的には赤字だといいます。

出雲神話まつり振興会・原哲也事務局長:
「物価高とか人件費高騰により、警備費で言うと倍近くかかっているということがございます」

頭を痛めるのが、運営経費の急増。
特に警備費は、人件費の高騰により5年間で2倍近くに。
全体予算の4割近くを占めています。

振興会では、地元企業から協賛金を募るほか、クラウドファンディングも実施して収入の確保に奔走していますが、ここ数年は花火の数を4分の1に減らすなど支出の削減を余儀なくされています。

出雲市に限らず、各地の花火大会が経済的に厳しい状況に追い込まれる中、支援に乗り出しているのが、大手ビールメーカーの「KIRIN(キリン)」です。

夏は花火、春は桜という日本の風物詩を次の時代に引き継ぐため、商品の売上の一部を自治体に寄付する「晴れ風ACTION」を2024年から展開。公募の結果、2025年寄付先のひとつに『出雲神話まつり』が選ばれました。
寄付額は約80万円で、これで2025年度は黒字のめどが立ちました。

出雲神話まつり振興会・原哲也事務局長:
「我々の努力だけでは限界がありますので、全国的な企業さんに応援してもらえるのは非常にありがたいと思います。出雲の代表的な夏の風物詩ですし、これを継続して実施していきたいと考えています」

「晴れ風ACTION」は2025年、山陰両県では浜田市、米子市と岩美町の花火大会も支援。地域に活気をもたらすイベントを次の時代につなぐため、大手企業の支えが力になっています。

TSKさんいん中央テレビ
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