好調な滑り出しの菅政権に、“ポスト菅”目指す自民・岸田氏が再始動

8月28日に安倍前首相が突然の辞任表明をしてから1か月以上が経過した。安倍政権の『継承』をスローガンに自民党総裁選挙を圧勝した菅首相の新政権は早くも安倍カラーを引き継ぎつつ、菅カラーへの刷新も徐々に図りつつある。

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菅首相の掲げる“行政の縦割り打破”に向け、河野行政改革相による霞が関の脱ハンコ化や、平井デジタル相が率いる霞が関のデジタル担当部隊によるデジタル庁創設に向けた取り組みなどが矢継ぎ早に実行に動き出している。

そして菅首相が目下の最大の課題としている、コロナ禍を受けた経済対策では、10月からGoToトラベルに東京が追加され、GoToイートやGoToイベント、そしてGoTo商店街と、GoToキャンペーン全体が本格始動した。

こうした中の10月2日、感染症対策の現状を改めて確認すべく、自民党の岸田文雄・前政調会長は東京都内の大学病院を視察した。菅首相に総裁選で敗れた岸田氏が、来年秋に控える“次の総裁選”に向けた再始動のテーマとしてまず選んだのは「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い経営難に陥った医療機関への具体的な救済策の検討」だった。

政府も腐心するコロナ禍のおける病院経営の悪化

10月2日午前、岸田氏や岸田派の事務総長を務める根本匠・元厚生労働相らは、東京医科歯科大学附属病院を訪れた。そして岸田氏らは、新型コロナウイルス重症患者の専門病床や、屋外に設置されたプレハブのコロナ外来診療センターなどを視察した。

視察後、岸田氏は記者団に対して次のように述べ、新型コロナウイルス対策としての感染症対策の重要性を改めて強調した。

「新型コロナウイルス対策ですが、これから新型インフルエンザの流行期を前にして、様々な対策をしっかり進めていかなければならない。政治の責任は誠に大きいと感じています。PCRをはじめとする検査体制の充実、病床の確保、治療薬ワクチンの開発」

そのうえで岸田氏は「政治の立場から特に強く取り組まなければいけない課題として、病院の経営の安定の問題があるんだと思っています」と指摘した。

全国の医療機関では、新型コロナウイルスに感染した患者への対応で人手が割かれ、病院の収益となる一般外来など従来の診療が行えないなどの理由で収支が悪化し、結果として経営難に陥るケースが相次いでいる。この問題は、今年の通常国会でもしばしば議論され、政府と与野党が新型コロナウイルス対策を議論する連絡協議会でも「速やかな支援の実行」を与野党一致して政府に求めてきた。一方、政府も検討作業を進めているもののいまだに具体的な支援策は示せずにいる。

「赤字を埋める」岸田氏が打ち出した支援策とは

こうした背景を踏まえて、岸田氏は「コロナ対策の土台となる病院・医療機関の経営が大変な不安の中にある、このことについては深刻に受け止めなければならいと思っています」と強調したうえで、支援策として“国による赤字の補填”という選択肢に言及した。

「より具体的な取り組み、例えば毎月の経常利益が赤字にならない水準の確保ですとか、コロナ以前の平時の収益の確保ですとか、具体的な数値目標をあげて、こうした経営の問題について取り組むことが大事なんではないか」

「赤字を埋める、どこまで埋めるかは具体的に考えていかなければいけないと思いますが、いま赤字で多くの病院が経営上苦難に直面している。この現実を政治としてどうやって支えていくのか、こうした観点は大事だ」

さらに岸田氏は、近く勉強会を立ち上げ、年末の予算編成に向けて政府に対して提言を行っていきたいと語気を強めた。

「近いうちに病院経営、赤字の問題に関して勉強会を立ち上げて、いま申し上げたような具体的な取り組みを提言していく。これから年末にかけて予算編成の作業があるから、そこにどこまで盛り込めるのか、そういった観点で努力をする」

これまでの岸田氏は、外相や党政調会長といった立場を意識するあまり、積極的な発言や具体的な政策を自ら発信することを控えてきた。しかし、いまは肩書のない、いわゆる無役という環境であり、さっそく新型コロナ対策における岸田カラーを打ち出してきたと言えよう。菅カラーが注目を浴びる中、岸田カラーをいかに国民に浸透させられるか、今後の動きが注目される。

(フジテレビ政治部 福井慶仁)