人生を終えた方が何も残さず、ただ自然に帰ってゆく。
新たな埋葬に迫りました。
千葉・南房総市にある「真野寺」。
1300年の歴史を持つ寺院に広がる豊かな森。
実はここ、墓石を置かない特別な“埋葬エリア”なんです。
スタートアップのat FORESTが手掛ける「循環葬」。
土壌学の専門家の監修の下、火葬した遺骨をパウダー状にして土と混ぜ、自然に返すという新たな埋葬方法として名付けたといいます。
埋葬エリアとなるのが、真野寺にある静かな森の一角です。
取材したのは、関東で初となる拠点「RETURN TO NATURE」の内覧会が行われた日。
参加者:
自分たちが“この木を埋めてほしい”はダメ?
「循環葬」を考案したat FOREST・小池友紀代表取締役CEO:
ここにはいつまでたっても墓標が立つことはない。このままきれいな森の状態のまま。
シンボルとなる木の周りに遺骨を納めることが多く、自然とともに眠る意味合いが強い樹木葬とは異なり、循環葬では墓標を設けず遺骨を土に埋め自然に返るのが特徴です。
価格は67万円。
ペットと一緒に埋葬できるプランもあります。
参加者(50代):
両親はすでにお墓を自分たちで用意しているけど、こちらの方がいいんじゃないかなと。“こういう所があるよ”と話してみたい。
参加者(60代):
墓標がないのがいい。お墓は別にあるが、こういうのもいいかな。
時代とともに変わるお墓の形。
跡継ぎや管理費などの負担から墓じまいは2023年度に16万件を超え、過去最多になりました。
近年では、一般墓と樹木葬のシェアが逆転し、墓標を持たないスタイルが広がりを見せています。
こうした背景を追い風に、循環葬の大阪拠点ではすでに150人以上が契約。
今回、問い合わせの多かった首都圏に初進出しました。
一方、敷地を提供する寺にとっても新たな収益や森林保全につながる効果があります。
真野寺・伊藤尚徳住職:
(循環葬は)寺で今まで手が届かなかった山々の管理ができるようになり、新たな活用法が見つかるところに賛同した。
at FORESTが整備費用を負担し、長らく人の手が入らなかった森を再生。
拠点では線香などの持ち込みを禁止し、ウッドデッキを設置することで森林浴に訪れる感覚で故人をしのんでほしいといいます。
人が集い、生まれ変わった森に新たな命が芽吹く。
今後は地元の飲食店などとも連携し、地域創生にも力を入れていきたい考えです。
「循環葬」を考案したat FOREST・小池友紀代表取締役CEO:
循環葬のお客さまがこの森に来ることになるので、定期的なお墓参りの人、イベントで来る人、循環葬が気になって遊びに来る人もいる。今までとは違う人の流れができる。核家族化、都市化、未婚化、家族の形が多様化しているので、後世の人たちが“いいよね”と言ってくれるようなお墓にしていきたい。
ライフスタイルが多様化している中、最後に眠りにつく場所についても様々な選択があるようです。