1700人以上の尊い命が奪われた岡山空襲から2025年で80年。悲惨な記憶を後世に伝えようと岡山市は8月13日、空襲の爪痕が残る2本の「戦災樹木」に看板を設置しました。
岡山空襲で被災した樹木。看板が設置されたのは樹齢100年以上とみられる落葉樹の一種・エノキです。幹に近づいてみると…中は黒く焼け焦げて炭になっていることが分かります。
80年前の1945年6月29日、岡山市中心部を襲った岡山空襲。アメリカ軍の攻撃により1700人以上が犠牲となり市街地の6割以上が焼け野原となりました。
岡山城も焼失し、天守のそばにあるエノキも炎を浴びたため幹の片側が焼けてしまいました。
しかし…
(岡山市福祉援護課 康乗俊樹主任)
「炎を浴びて木の内側が炭化したが、樹皮が傷口を覆い隠そうとしている。」
木の生き残った部分が盛り上がり、焼けたところを覆い隠そうとする様には強い生命力を感じます。
(岡山市福祉援護課 康乗俊樹さん)
「岡山空襲で一度は焼けたが木が自力で大きくなっていく姿を通して、戦後日本や岡山が復興した様子も実感してもらえたら」
80年前と同じ場所に立ち、戦争の悲惨さを静かに伝え続ける戦災樹木。国や自治体の保護樹木制度の対象外となっていますが、市はこの「物言わぬ語り部」を大切に残していきたいとしています。