一時、県内7つの市と町に大雨特別警報が出されるなどした一連の記録的な大雨から一夜明け、被害の全容が徐々に明らかになってきました。

八代市では地区の裏山が崩れ土石流が発生、道路や住宅に土砂が流れ込みました。

【渕上 洋平 カメラマン】
「八代市興善寺町です。大雨により山が崩れきのうの朝、土石流が発生した」

八代インターチェンジから北東に、直線距離で約2.3キロ程の八代市興善寺町。

土砂は地区を流れる大谷川や生活道路を覆いつくしました。

「土砂ダム」となり流れを遮られた川の水は道路を伝って地区の下にある小学校へと流れ込みます。

【住民】
「もう滝のようにバーっと来た」
「小屋のシャッターもバーと外れて中に入ってきて。炊事場も、私の背丈くらいに埋まっている。冷蔵庫も洗濯機も浮いた」

土石流は、数百メートルに渡っていて、住民によると、堆積した土砂は高いところで2メートルを超えるといいます。

加来 啓治郎さんと美和子さん夫妻の自宅です。

加来さん夫妻は避難し無事でしたが、リフォームしたばかりという終の棲家になるはずだった家は変わり果てた姿に…。

二人は肩を落としながらも、片付けに追われていました。

【被災した 加来 美和子さん】
「晴天の霹靂、びっくり、まさかわが身。この地に住んでていいのだろうか、昨日の夜も住めるかな…という話もした」

住民によりますと、幸いにもけがをした人はいないということです。

また、12日午後から重機による土砂の撤去作業が始まりました。

【原田 光應 カメラマン リポート】
「裏山が崩れ、一軒丸ごと押しつぶしています」

天草市栖本町では山の斜面が崩れ落ち、住宅2棟が全壊しました。

1棟は、リフォームが終了したばかりでまだ誰も住んでおらず、もう1棟に住む家族も買い物に出かけるなどしていてけが人はいなかったということです。

【全壊した家の住人】
「家族5人、テーブルでご飯を食べてたら、外で『バキンバキン、ゴトンゴトン』と音がして裏山から土砂が少し流れてきた。その後買い物に行って、帰ってきたら家が崩壊してた」

天草市によりますと、栖本町では住宅2棟が半壊する被害も確認されています。

こちらは、視聴者が撮影した天草市亀場町の亀川です。

普段は、このように川底が見えそうなぐらい川だということですが、11日の午前中は、川と陸の境がどこか分からないほどの水位に。

一夜明けた12日、水位はかなり下がったものの、濁った水が流れていました。

また、天草市唯一の映画館本渡第一映劇にも床上浸水の被害が。

流れこんだ水は深い所で70センチもあったと言います。

【本渡第一映劇 柿久 和範 支配人】
「朝来た時映画館の扉が開かないくらい水が押し寄せていて、カギ開けても開かないんですよ、水圧で。三十数年やってるけど初めてです」

11日は、水をかきだすのに6時間かかり12日は、映画ファンがボランティアで訪れ、イスや床をきれいにする作業をしていました。

【西村 勇気 アナウンサーリポート】
「きのうと打って変わって青空の広がる上天草市。しかし田んぼを見ると一夜明けてまだこれほど水をかぶっている状態です。そして田んぼの真ん中にはトラクターがまだ水没したままです。」

大雨で住宅地まで水が侵入し住民がボートで救出されるなどした上天草市。

一夜明けると、本来、稲が植わっているはずの田んぼは、一面川のような姿になっていました。

また、田んぼからあふれだした水は大きな流木やゴミまでも押し流しました。

さらに、すぐ近くにある体育館やホールを備えた施設、上天草市総合センター「アロマ」は大きな浸水被害を受けました。

かつてはプロボクシングの世界タイトルマッチも行われた「アロマ」。

避難所としても活用されてきましたが、11日は様子が違ったといいます。

【西村 勇気 アナウンサー リポート】
「施設の職員によりますと突然このガラスを破って水が入ってきたそうです。ここにその水の跡がはっきりと見て取れます。そしてここ見てみるとこのガラス1センチくらいあってかなり分厚いんですよね。どれくらいの水圧だったのかがよくわかります。」

【アロマ指定管理者 山下 洋介 さん】
「午前9時過ぎだった。窓が割れて一気に水位が上がった」

あっという間にアロマの体育館一階部分は一面プールのように水に覆われました。

施設職員の判断で避難者5人を2階に誘導、難を逃れました。

指定管理者によりますと、重要な書類などは運び出したものの、被害の範囲が広いため復旧のメドは立っていません。

今後泥をかき出した後に、どのように復旧するか手順を慎重に検討したいということです。

【井手 正観カメラマンリポート】
「玉名市天水町のこちらの地域では現在も水が引かず
あたりは湖のようになっています」

玉名市天水町の唐人川そばの受免地区では12日も冠水が続いていて高齢者が家から出ることができず水が引くのを待っていました。

この地区では、きのうまでの大雨により数軒の住宅で1階部分が浸水。

こちらの男性は、親戚の高齢女性が自宅から出られない状態のため腰の高さまで水に漬かりながら食料品などを届けていました。

【受け取った住民】
(いつもならどれくらいで水が引く?)
「機械が故障している。いつもなら翌日には引くがきょうは引いていない」
【届けた男性】
(前もこうやって届けたことはある?)
「ない」

この地区に暮らす別の男性は「おとといの夜から一歩も家を出ずに自宅にいた、市や消防に救助の連絡はしていなかった」と話し歩いて食料品などを買いに行っていました。

玉名市によりますと、受免地区では電話や水道水、ガスやトイレを使うことができず、8世帯が冠水によって身動きが取れなくなっているということです。

玉名市では、飲料水などの物資を届けるなど個別に対応することにしています。

テレビ熊本
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