プレスリリース配信元:公益財団法人日本ユニセフ協会
ユニセフ事務局次長が安全・尊厳の確保と支援強化を訴え
(C) UNICEF/UNI844883/Fazel西部ヘラート近郊のイスラムカラ受入センターにユニセフが設置した「子どもにやさしい空間」で、子どもたちと交流するユニセフ事務局次長のテッド・チャイバン(アフガニスタン、2025年8月5日撮影)
【2025年8月9日 カブール(アフガニスタン)/ニューヨーク発】
アフガニスタンへの訪問を終えたユニセフ(国連児童基金)事務局次長のテッド・チャイバンは、周辺国に逃れた人々が大量に帰還している状況について、以下の声明を発表しました。
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私はちょうどアフガニスタン訪問を終えたところです。現地では、今年だけで、50万人以上の子どもを含む200万人を超えるアフガニスタンの人々が隣国のイランやパキスタンから、加えてかなりの人数が中央アジア諸国から戻ってきています。
私にとって4回目となる今回のアフガニスタン訪問では、行政担当副首相、大臣臨時代理、現地の州知事などの事実上の当局の高官と会談しました。また、国連職員、ドナー、市民社会におけるパートナーとも会いました。クンドゥズ、イスラムカラ、ヘラートでは、ユニセフが支援する活動を視察する機会がありました。これまでの訪問に比べ、アフガニスタン全土でアクセスが改善され、ユニセフがより多くの子ども、女性、コミュニティに人道支援を届けられようになっていることを実感しました。
(C) UNICEF/UNI844893/Fazelアフガニスタンとイランの国境に位置し、難民や帰還者の主要な出入国地点の一つであるイスラムカラの受入センターを訪問する、チャイバン事務局次長(アフガニスタン、2025年8月5日撮影)
イスラムカラの受入センターでは、イラン国境を越えて毎日数万人が到着する中、事実上の当局や国連機関、NGO、その他のパートナーが連携して人道支援と保護サービスを提供している様子を目にしました。帰還者数は7月4日に1日当たり5万人超というピークを記録しており、アフガニスタン各地の国境検問所に設置された受入センターは、多数の帰還者への対応を行っています。
国境で出会った家族たちは、母国での将来に期待している一方で、生活を再建できるかどうか不安も感じていると語っていました。彼らに共通する懸念は、娘たちが初等教育の6年生を終えた後も教育を受け続けられるかどうかという点であり、それはクンドゥズで出会った子どもたちも口にしていました。
アフガニスタンでは、教育は依然として重大な問題です。特に、6年生を過ぎた後の学校教育が許されていない10代の女の子にとって、その影響は甚大です。公式の教育を受けられないため、中等教育や大学教育、そしてその後の就職の機会を失うことになるからです。クンドゥズでは、学校に通えなかった女の子たちが初等教育を修了できる代替学習プログラム(ALP)を視察しました。そこで、若い女性教師の一人が、医学部を卒業するまであと数カ月というところで、学業を続けることを禁止されたと私に話してくれました。アフガニスタンの女性たちの重要な保健医療ニーズに応えることのできる女性医師が、1人減ってしまったのです。
(C) UNICEF/UNI844950/Fazel北部クンドゥズ州のウスタッド・アブドゥラ学校を訪問したチャイバン事務局次長(アフガニスタン、2025年8月4日撮影)
クンドゥズ近郊にあるウスタッド・アブドゥラ学校で、教師や外科医、エンジニアになりたいと願う、将来への期待に胸をふくらませた多くの優秀な男子生徒・女子生徒に会いました。彼らは、アフガニスタンの将来に貢献したいと願っています。しかし、痛ましいことに、アフガニスタンでは現在、10代の女の子の教育が禁止されており、彼女たちは6年生を終えると学校をやめなければなりません。
すべての子どもが教育を受けられるようにすることは、ユニセフの使命の中核を成すものであり、私たちは、あらゆる年齢の女の子が学校に残り、質の高い教育を受け、自分自身のため、家族のため、そしてアフガニスタンの将来の成長のために働き、社会の一員としての役割を果たせるよう、この禁止措置の解除を強く求めます。私たちには、女子教育を継続させるための解決策を見出し、当局と引き続き選択肢を模索していく用意があります。
アフガニスタンの帰還民危機に関して、ユニセフは、イランやパキスタンなどの受け入れ国の政府が長年をかけてアフガニスタン人の受け入れに尽力してきたことを認識し、感謝の意を表します。しかし、私たちは、多くの場合、過酷で予期せぬ帰還の旅に踏み切った家族や個人、そして子どもたちのウェルビーイングを危惧しています。また、人口の半分以上が人道支援を必要とし、40年以上にわたる紛争と進行中の干ばつの弊害を乗り越えようとしているアフガニスタンの脆弱なコミュニティに、この大規模な帰還がどのような影響を与えているかに関しても懸念を抱いています。子どもたちは、とりわけおとなの同伴者のいない子どもたちは特別な保護を必要とし、子どもの保護当局によって彼らの最善の利益が保証され、保護とウェルビーイングが担保されるべきです。これには、家族との再統合のための支援も含まれます。7月末までにユニセフは、6,000人以上のおとなの同伴者のいない、あるいは家族と離ればなれになった子どもを登録し、その家族や親戚との再統合の実現に寄与しました。
(C) UNICEF/UNI844887/Fazelイスラムカラ受入センターで、栄養検査を受ける子どもとその母親に面会するチャイバン事務局次長(アフガニスタン、2025年8月5日撮影)
受け入れ拠点における協調かつ連携した一次対応は急速に拡大していますが、帰還途中の人々の安全を確保するため、さらなる取り組みが求められています。
これには、帰還途中の継続的な質の高い支援、およびアフガニスタン国内の帰還地域における社会復帰を支援するための必須サービスへの継続的なアクセスが含まれます。教育、保健サービス、経済的な機会へのアクセスが限られているため、コミュニティが短期間に多数の帰還民を受け入れることはますます困難になっています。
ユニセフは、帰還者の移動中の安全、尊厳、自発性を担保し、移動中の支援の継続、および必要に応じて受入国での継続的な保護へのアクセス措置を保証する、帰還者への体系的かつ段階的な対応を求めます。
このような対応は、脆弱な立場にある人々、特に女性や子ども、親と離ればなれになった子どもやおとなの同伴者のいない子どもにとって、特に重要です。
したがってユニセフは、帰還を段階的に進め、アフガニスタン当局、国連機関、NGO、パートナーがより適切に対応管理ができるよう、イラン、パキスタン、アフガニスタン各政府が対話を行うことを求めるほか、ドナーに対し、受け入れ地点および最終的な再定住地域において、子どもを含む帰還者に対する人道的な行動を支援するよう呼び掛けます。
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。(https://www.unicef.org )
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。(https://www.unicef.or.jp )
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