■「クマを殺すな」「駆除しろ」――ヒグマによる死亡事故で割れる世論

 7月12日、北海道南部の福島町で新聞配達中の52歳の男性がヒグマに襲われ命を落としました。この痛ましい事故をきっかけに、北海道庁や福島町役場には200件を超える意見や苦情が寄せられました。

 その多くは「クマを殺すのはかわいそうだ」という駆除に反対する声でした。また一方で「なぜもっと早く駆除しなかったのか」という積極的な対策を求める声もあり、意見は真っ二つに割れました。


■「クマを殺さないで」――動物の命を守りたい人々の叫び

 特に多く寄せられたのは、クマの駆除に対する非難の声でした。多くは北海道外からの電話で、中には1~2時間も訴える人もいて、自治体には大きな負担となりました。

「熊殺し。人間のほうが駆除されるべき」

「なんでもかんでも殺すな。山に返せばいい」

「意味があって生きている命を奪うな。動物園に送ればいい」

「殺すのはかわいそう。動物の命を何だと思っているのか」

「狩猟によって命を奪う社会そのものが間違っている」


■「命を守るために駆除を」――安全を求める切実な声

 一方、被害者が出たことで、「今すぐ駆除を進めるべきだ」と、強い危機感を訴える声も少なくありませんでした。

「また人が殺された。共生なんてできるわけがない」

「ヒグマ警報なんて無意味。早く駆除を」

「ヒグマは日本で一番危険な害獣。根絶すべきだ」

「福島町に帰省できない。不安だ。全部駆除してほしい」

「全国の熊愛好家の顔色ばかりうかがっていないで、仕事してください」


■命と安全のはざまで揺れる社会

 地域外に住む人の「かわいそう」という感情と、地元住民の「安心して暮らしたい」という切実な願い。

 この問題は、日本という国土で、人と野生動物がどう共生していくべきかという、根本的な問いを私たちに投げかけています。

 あなたなら、どう考えますか?

北海道文化放送
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