6日に日本の人口が過去最大の減少とお伝えしたばかりですが、実は韓国も少子化による人口減少が深刻な問題となっているんです。
韓国第2の都市・釜山(プサン)。韓国最大の港町として栄えてきましたが、政府機関が消滅危機地域に分類し衝撃が広がっています。
現地で何が起きているのでしょうか。
取材班が最初に向かったのは首都ソウルの中心部。
高層マンションが立ち並び、住宅価格の高騰が止まらない事態となっています。
6月に発表された世界物価マップでは、ソウルのマンション販売価格がニューヨークやロンドンを抜いて世界4位になったのです。
7月に販売が開始されたソウル市内にある新築マンションのモデルルーム。
3LDKの間取りで広さは84平米となっていますが、その価格は1億6000万円を超えています。
ソウルのマンション平均価格は過去8年で倍以上に急上昇。
それでも新築の9割以上が半年以内に売れています。
背景にあるのが首都圏への人口一極集中です。
今や韓国の全人口の半分以上がソウル首都圏に暮らしているのです。
その反動で、地方は危機に瀕しています。
中でも韓国社会に衝撃を与えたのが、2024年6月に政府機関が発表した分析です。
ソウルに次ぐ第2の都市・釜山が消滅危機に入ったというのです。
取材班が現地を訪れると、ソウルとは対照的な光景が。
市内北部にある新築マンションは2024年7月に完成しましたが、住んでいるのはわずか2世帯のみ。
地方では、新築マンションの入居率は5割ほどしかありません。
釜山の不動産仲介業者:
20年ほど前に新婚夫婦が10組いたなら、今は2~3組しか来ません。かなり減りました。
釜山駅から車で10分ほど離れたかつての街の中心地を訪れると、窓が割れ建物の一部が崩れ落ちてしまっている廃虚のようなアパートがありました。
かつては造船業で栄えたエリアでしたが、現在は人口の空洞化が顕著になっています。
空き家問題も深刻です。
実は釜山では、この30年で人口が約60万人も減少。2050年までに高齢化率が50%を超える可能性があるとされ、消滅危険地域に分類されました。
若者の流出も深刻になっています。
市内にある釜山大学。大学前の商店街はかつて流行の発信源として若者でにぎわいましたが、現在はスラム化が懸念されています。
10年ほど前までは洋服店などでにぎわっていた通り。
その姿は様変わりしほとんどが閉店しました。
大学生は、「就職を準備して職場を探してみるとソウルしかない」「できればずっと釜山にいたいですが、仕事で出ていくことになるのではないか」などと話しました。
韓国では、全国228自治体のうち半数以上が消滅危機にあるとされ、韓国政府は政府機能の移転を検討するなど、地方分権の強化を目指しています。