参院選に敗れ、自公が参議院でも少数与党となったことで加速するとみられているのが、ガソリンの暫定税率廃止に向けた動きだ。ただ、自治体などが示していた懸念への対応策は示されていない。

■野党は暫定税率の廃止訴えるも…
7月28日時点の新潟県内のレギュラーガソリン1リットルあたりの平均価格は173.3円と、4週ぶりに前週を上回った。
高止まりを続けるこのガソリン価格をめぐり、参院選で野党側が訴えたのは、道路の整備などを目的に田中角栄元首相が1974年に開始したガソリンの暫定税率。
通常国会に野党7党が提出した廃止法案は衆議院は通過したものの、参議院では採決されることなく廃案に追い込まれていた。
立憲の野田佳彦代表は「ガソリン税の暫定税率を廃止すべきではありませんか、いつまで暫定が続くんですか?」と訴え、小川淳也幹事長も「暫定という名のもとに50年以上課税させられ続けてきたのがこの25円。私はここに政治の不誠実さと不真面目さが象徴され、凝縮されていると思っている」と訴えていた。
野党がガソリンの暫定税率廃止に関して訴えを強める一方、石破首相をはじめ、自民党の大物が選挙戦で県内入りした際にガソリン価格に触れることはなかった。

■新潟県は123億円の減収に…
しかし、参院選で大きく議席を減らし、自公が衆議院に続き、参議院でも少数与党となった今、8月召集予定の臨時国会でガソリンの暫定税率廃止に向けて大きく動き出すことが予想される。
ただ、この暫定税率の廃止をめぐり懸念を示してきたのが自治体だ。
花角知事は「これはとても飲み込める金額ではない。この税収の減収分をどういう形で埋め合わせていくのか、これは同時に国において検討し、考えていただきたい」と強調。
暫定税率が廃止された場合には、新潟県で123億円の減収になるとする政府の試算が明らかになっていて、対応策を国で検討するよう求めていた。
加藤勝信財務相は「インフラ整備や維持管理の負担をどうするか、あるいは安定財源の確保をどうするか、諸課題に対して答えを出していく必要があるという状況には変化がないものと承知している」と話した。
人口減少などにより財政状況が厳しさを増す自治体の懸念に対し、どのような対策が講じられるのかも注視していく必要がある。
