7月30日朝ににロシアのカムチャツカ半島で起きた地震。当初の津波注意報から約1時間後に警報に切り替わった。

■注意報と警報の違い
津波注意報は、発表される津波が最大1m、海の中では、人は速い流れに巻き込まれるため、海岸から離れることが取るべき行動。
一方、津波警報は最大3mで、標高の低い所では浸水被害、人は津波に巻き込まれます。ただちに、高台など安全な場所への避難が必要だ。

■防災マイスター解説
東京大学大学院の客員教授で防災マイスターの松尾一郎さんに、津波の発生メカニズムと今後の見通しについて解説してもらった。
「日本時間で今朝の8時過ぎに、カムチャツカ半島で地震が発生しました。マグニチュード8.8という規模は、東日本大震災がマグニチュード9でしたから、ほぼそれに等しい、やや小さめということになります」と松尾さんは説明する。
地震の発生場所は太平洋プレートと北米プレートの境界面。「太平洋プレートが北米プレートに潜り込む境界面でプレートがずれたことで地震が発生しました。断層面は300kmから400km近く割れたと推測されます」

松尾さんが作成したシミュレーションでは、津波の複雑な動きを確認できる。「津波はたらいに水を入れて揺するようなもので、四方八方に広がります。地形や海底の影響を受け、複雑な動きをします」
特に注目すべきは、アリューシャン列島の影響だ。「島の影響で津波が干渉しています。また、海底には火山や海盆があり、この海底地形の影響を受けて津波は複雑に変化します」

「津波が陸地にぶつかると反射します。反射した波がまた戻ってくるため、海面の変動は1日近く続きます」と松尾さんは警告する。実際に相馬市の観測所では、すでに約60cmの津波が記録されているという。
さらに警戒すべきは満潮との重なりだ。「潮位は月の引力で1日2回満潮が来ます。朝の6時と夕方の午後7時頃が満潮時刻です。満潮時に津波の影響が重なるとさらに潮位が高まります」

松尾さんは警報解除の見通しについても言及した。「警報の解除は、満潮の時間を確認して大きな影響がないことを確認してからになるでしょう。暗いうちの解除は難しいため、おそらく明日の朝まではこのまま継続することになると思います」

今後も高い津波が満潮と重なって襲ってくる可能性があるため、引き続き警戒が必要だ。津波の特性を理解し、安全確保を最優先に行動することが重要である。

福島テレビ
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