津波でアンカーロープ切れ カキいかだ転覆
カムチャツカ半島沖で発生した地震による津波の影響で、宮城県内の沿岸部では養殖施設に被害が出ていることが分かった。
気仙沼市では、カキの養殖いかだが流されるなど、漁業者からは落胆と不安の声が上がっている。
被害が確認されたのは、気仙沼市の大島と本土を結ぶ「気仙沼大島大橋」の周辺。津波による潮流の変化によって、カキの養殖いかだを固定していたアンカーのロープが切れ、一部はいかだごと完全に転覆した。
大島でカキの養殖を営む小松博文さんは、いかだの状態を目の当たりにし、肩を落とした。
小松博文さん:
「ほんとね…チリの津波から始まって、東日本大震災でしょ。やっと並べて、やっと収穫して…まだ安定してないんですよ。15、6年経っても。またもう…がっかりしちゃって」
小松さんは東日本大震災で甚大な被害を受けたあと、長年かけて養殖いかだを再建してきた。その努力が、今回の津波によって再び打撃を受けた形だ。
小松博文さん:
「春の出荷が終わって、秋の出荷に向けて置いていたところだったんです。それが、こうなってしまって…本当に困っています」
さらに、いかだの破損だけでなく、海中のカキが脱落している可能性もあるが、津波警報が出ているため船を出して確認することができないという。
小松博文さん:
「早く解除になって、いち早く確認に向かいたいです」
村井知事「養殖施設に大きな影響の可能性」
村井嘉浩知事は、県内の水産業への影響を懸念し、被害状況の把握と調査を進める考えを示した。
村井知事:
「海には容易に近づける状況ではないので、警報が解除されるまで被害の実態は分からない状況です」
津波による陸上での大きな被害は確認されていないが、海中の施設には注意が必要だと指摘する。
村井知事:
「海の中の養殖施設にはかなりの影響が出る可能性があります。今後、警報が解除され次第、速やかに調査を進めたいと思います」