日米両政府が核兵器使用に関する議論をしていたという報道を受け被爆者などは強い危機感や怒りを示しています。
≪スピーチ≫
「唯一の戦争被爆国である日本政府がこうした議論をしていることは許すことはできません」
29日抗議の声を上げたのは県被団協のメンバーなどおよそ80人です。
「日米両政府が有事の際には、米軍が核兵器を使用するというシナリオを議論していた」という報道を受け原爆ドーム前の抗議活動を緊急で開催。
被爆者らは、これまで強く核兵器廃絶を訴え活動してきたにも関わらず、このような議論が行われていることに悲しみと怒りを訴えました。
≪緊急アピール≫
「核兵器廃絶を求める被爆者の願いを世界に発信することを求める」
抗議文には核兵器使用議論と「核の脅し」を求める発言についての情報公開や核兵器禁止条約への早急な参加の要請が盛り込まれました。
この抗議文はこのあと、防衛省に提出されます。
【県被団協・佐久間邦彦 理事長】
「もう二度と核兵器を使う、原爆を使うことが起こらないように、世界をリードするそういう立場になってほしいと私は思います」
また、議論を受け被爆者や市民団体で作る「核兵器をなくす日本キャンペーン」による緊急会見も28日行われ、日本被団協の田中熙巳代表委員らが参加しました。
【日本被団協・田中熙巳 代表委員】
「私にとっては驚くというよりかは憤慨に堪えない。具体的に計画しているわけですから本当に大変なことだと、国民は反対をしていく必要があるのではないかと思う」
田中熙巳代表委員らは政府に対して強い怒りを見せ日米両政府に抗議しました。
また、湯崎知事も「核兵器を廃絶しない限り、シミュレーションをしなければならなくなる」とした上で「核兵器をなくす」努力の必要性を強調しました。
【広島県・湯崎英彦 知事】
「最大限注力すべきは核抑止力を強化するのではなく、核軍縮を最大限に進めるということ、その教訓だと思います」
一方で、中谷元防衛大臣は29日、開かれた会見で一部で報じられた内容は「事実無根である」としたうえで次のように述べました。
【中谷元 防衛大臣】
「唯一の戦争被爆国として現実的かつ実践的なアプローチで核兵器のない世界の実現に向けて全力で取り組んでいきたい」