TSSライクでは、80年目の8月6日を前に、「つたえるつなげる」をテーマに特集をお届けしています。
今回は、被爆80年にあわせ、音楽で平和をつなごうという広島のアーティストたちに密着しました。
今年4月、平和公園を訪れた広島在住の2組のミュージシャン。
被爆80年に寄せて平和の歌を作ろうと決意していました。
広島出身の藤江潤士さん。
ソロ活動10年目です。
TSSのThankyouforzeroキャンペーンソング「家族の約束」を歌っています。
もう一組は姉妹デュオ「メビウス」結成18年、災害被災者へ応援ソングを作るなど地域に寄り添い活動してきた被爆3世です。
【メビウス・岡田真実さん】
「自分たちが、おじいちゃんおばあちゃんが残してくれたこの平和な町、時間を次の世代にちゃんとバトンタッチできるかなというなんか不安というか責任というか」
【メビウス・岡田賀江さん】
「身近に戦争を感じることも増えたしね」
【藤江潤士さん】
「自分の子どもたちが戦場になんてことになりかねない」
【岡田真実さん】
「そういった意味でもやっぱり被爆された方の声を残すということがすごく未来を変えるような気がして」
3人はまず、平和公園にある「国立広島原爆死没者追悼平和祈念館」を訪れました。
残されている被爆者の証言や資料に触れました。
【岡田賀江さん】
「逃げてたなと思いました。現実から逃げてたなと思って」
【藤江潤士さん】
「ぼくは初めてに近いぐらい怒りを覚えました」
感じたのは、悲しみやつらさ、負のパワーだと言います。
模索する中、3人は音楽で継承活動をする先輩のもとを訪れました。
ピアノ調律師の矢川光則さん。
被爆したピアノを調律し、その音色を聞いてもらうことで、あの日を知ってもらう活動を国内外で行っています。
【岡田真美さん】
「ピアノそれぞれの被爆状況は違うと思うですけど、どこまで直していくんですか?」
【矢川光則さん】
「新しい材料を入れるとそのピアノの歴史を消してしまうことになる。まして特に外観なんかは一切手を加えていないんです。ピアノは音が出るじゃないですか。ちょっと修理をして直してあげれば音楽でも伝えていくことができる。みんな正面から平和について考えてもらう大きなきっかけになっているなと思いますね」
「ドキドキする」
「すごい音だね」
「すごい、音が」
【岡田真美さん】
「自分の心の中をのぞかれている感覚になる」
【藤江潤士さん】
「生き残って乗り越えて今これだけきらびやかな音を出す。矢川さんのところにい行かせていただいて違う感情というか負の感情を抱いたこの間ときょうはすごく『生きる』じゃないけど希望な方な感情をもらったような気がしていて、改めてこのプロジェクトをやる意味と大変さを感じている」
音楽を通しできることを改めて突き詰めます。
【岡田真美さん】
「(被爆)証言の中の言葉やキーワードだったり風景だったりそういうものをお借りしながら、被爆証言はVTRで見せていただいたけど直接聞きたいというのはある」
被爆者の生の声を聞きたい。
行動に移しました。
切明千枝子さん(95)。
15歳のとき爆心地からおよそ1.9キロの広島市南区比治山橋のそばで被爆しました。
【切明千枝子さん】
「ピカっと光って原爆が落ちた。目の前にね太陽が落ちたかと思うぐらい目がくらみましたよ。私は爆心地に背を向けていたの。それなのに目の前に太陽が落ちたかぐらいの閃光でした。あっと思って目がくらんで。私はこれからの世の中を背負っていく若い人たち、あなたたちも含めて幼い子供たち若者たち、そういう人たちを、あのときの広島の若者や子供たちのような目にあわせることがあってはならないぞいう思いだけは消すこともできず、消えることもなく思い続けております」
長崎の被爆者からも話を聞きました。
三瀬清一朗さん(90)。
10歳のとき、爆心地からおよそ3.6キロの自宅で被爆しました。
【被爆者・三瀬清一朗さん】
「ピカっと来てドーンとものすごい爆風でしょ。だから僕たちはてっきり太陽が落ちたと思ったんですよ。あり得ないですけどね。それぐらい初めての衝撃だった。私たちが体験したあの被爆、戦争とかの辛さをね将来皆さんたち若い人たちに、平和という名前の花の種。平和の名の花の種を、皆さんたちに僕たちはひとつずつそれをお預けしている。話しを通じながら、みなさんたちがその種を育てていただいて芽をだしてもらって平和の花を世界中に咲かせてほしい。これが私たちの願いなんです」
たくさんの受け取ったメッセージが、曲を生み出しました。
タイトルも・・・
【岡田真美さん】
「証言を聞かせていただいたお二方が未来に向けての思いがすごい強い。私たちの悲惨な経験を知って頂戴って言うのではなくて、こんなことにならないように変えてほしいっていう思いがすごく強く伝わってきた。きっと平和の種を渡すとおっしゃったんだと思う」
【岡田賀江さん】
「みんなで一緒に歌いたいな」
過ちを繰りかえさず明るい未来を築くために、受け取った平和の種を歌とともにまいていきます。
《スタジオ》
今流れているのが、完成した曲「へいわのたね」です。
この曲は、TSSの「被爆80年プロジェクトつたえる・つなげる」テーマソングになりました。
8月6日のライク特別番組の中でご本人生出演で歌の全容を公開する予定です。
CDは来月11日にリリース予定です。
平和の価値というものが問われる難しい時代になっていますが、この歌をとうして平和の種をまいていく。
ぜひこの曲を皆さんに聴いていただきたいなと思います。