日本時間の7月23日朝、急転直下で決着したアメリカトランプ政権との関税交渉。専門家が最悪の事態からは少し緩和されたと評価する中、中小企業のトップはどう感じているのでしょうか?
石破茂 首相:
守るべきものは守った上で日米両国の国益に一致する形での合意を目指してきた。今回、トランプ大統領との間でまさにそのような合意を実現することができた
日米の関税交渉は日本時間の23日朝、赤沢経済再生担当大臣がホワイトハウスでトランプ大統領と会談して合意しました。
石破首相は25%まで引きあげるとされていた相互関税を15%に留めることが出来たと強調した上で「対米貿易黒字を抱える国の中でこれまでで最も低い数字」と述べています。
また、自動車の関税は25%の追加関税率を半減し、既存の税率2.5%を加えて15%とすることで合意したと説明しました。
さらに「合意には農産品を含め日本側の関税を引き下げることは含まれていない」と話しています。
政府関係者によるとコメについては毎年関税をかけずに一定量を義務的に輸入するミニマムアクセスの枠を維持した上でアメリカの輸入割合を拡大するということです。
光田有志アナウンサー:
日本時間の23日に発表された日米の関税交渉の合意、税率は15%でした。県民はどのように受け止めているのでしょうか?
県民:
日本にとっては少し緩和されたので良いのではないか?
県民:
15%はまだ高い。できればもう少し低い方が日本の経済にとっても良い
県民:
ずっと交渉していたわけなので成果と言って良いのではないか?
県民:
みんなそうだと思うけれど実際どういう風に現場に影響出るかわからないので、見守っていかなければいけない
静岡県御前崎市にある創業155年のやまま満寿多園。
茶葉やティーバッグなど、現在はアメリカをはじめとする30カ国以上に輸出していることから、なかなか合意に至らない関税交渉に気を揉んでいました。
やまま満寿多園・増田剛巳 社長:
不確定要素がなくなったということでホッとはしているが、15%はものすごく大きな数字。私たちが例えば商品の値下げなど、そういうものでカバーできるような数字ではない
このため、今回の交渉決着を機に改めて経費や輸送にかかる費用を見直していく考えです。
やまま満寿多園・増田剛巳 社長:
もう1回いろいろ検討し直して、たとえ1円でも安く取引先の手元に着くような方法をお互いに、私たちだけの努力ではできないので取引先といろいろなことを話し合いながら進めていかなければいけないということでけさ話し合いをした
一方、こちらは”モノづくりの街”浜松で自動車のシートやアームレストといった部品などを手がける浜口ウレタン。
売り上げ全体の実に半分以上を自動車メーカーからの依頼を受けて作る部品が占めています。
市内で行われた展示会に参加していた浜口社長に話を聞いてみると…。
浜口ウレタン・浜口弘睦 社長:
最初は良かったと思った。ところがよく考えるとちょっと違うなと。元々ないやつが15%と正式に決まった。そうすると15%で(この先)ずっといくのかなと。これは困ったなと本当に思ってね、本当に
また、LEDの照明装置を海外に輸出しているパイフォトニクスの池田社長は関税政策に伴うアメリカ国内の経済の冷え込みを心配します。
パイフォトニクス・池田貴裕 社長
アメリカの景気が悪くなると大企業が取引先なので、そういうところの予算が相対的に減ってしまうと影響があると思う
経済の専門家は今回の合意について「最悪の事態から少し緩和されてきた」と評価しますが…。
静岡経済研究所・恒友仁 専務理事:
25%から15%に軽減されたということは良い事ではある反面、3月まではゼロだったものがプラスになっている。ここは明らかに企業側にとってのコスト要因になってくるので、間違いなく静岡県全体においても企業収益の圧迫から経済にとってはマイナスの側面がある
その上で、これまでアメリカ一辺倒だった取引について、他の国にも目を向ける機会になると指摘しています。