午後1時、東京で、そして大阪で相次いで配布された「号外」。

「号外で~す!石破総理退陣で~す」

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紙面には大きく「石破総理退陣へ」との見出しが。

「え~、まだ退陣しないって言ってたのに」
「あれだけ退陣しない退陣しないって言ってたのに」

突然の事態に街ゆく人はビックリ。

ところが、当の首相自身はこの退陣報道を“真っ向から否定”した。

首相:
一部にそのような報道がございますが、私はそのような発言をしたことは一度もございません。

この発言が飛び出す直前、石破首相は“異例の会談”に臨んでいた。

総理経験者3人が一堂に会する異例の会談に

午後2時前、神妙な面持ちで官邸を出た石破総理大臣。向かったのは、自民党本部。

午後2時から、麻生太郎最高顧問、菅副総裁、岸田前総理の総理経験者3人が一堂に会する異例の会談に臨んだ。

党本部で多くの報道陣が待ち構える中、午後1時41分に菅氏が、午後1時50分に岸田氏が、そして午後1時56分に、麻生氏が厳しい表情で姿を見せた。

“続投表明会見”から2日。石破総理が進退について説明するとみられる中、総理経験者3人がどう対応するかが注目されていた。

参院選で過半数割れの敗北を喫した自民党。
翌日の会見で石破総理は…

首相:
政治には一刻の停滞も許されないということでございます。実際に我が国が直面している幾多の課題、時限性があるという意味で申し上げれば、8月1日を一つの節目とする「米国との関税交渉」がございます。

「政治的空白を作ってはいけない」として続投の理由の一つに挙げた「日米関税交渉」。
それがけさ、電撃的に合意した。

首相:
守るべきものは守った上で、日米両国の国益に一致する形での合意を目指してまいりました。今回、トランプ大統領との間で、まさにそのような合意が実現するということになった。

総理自身が語っていた“大きな節目”を迎え、一部のメディアが“石破総理退陣へ”などと報じ、東京と大阪では相次いで号外も配布された。

石破総理自身の発言がない中、進退をめぐる憶測だけが一人歩きする事態に永田町の面々は…

(Q.石破首相退陣か?)
小泉農水相:

全く聞いておりませんし、今そのことについて正確なことかどうかわからない中でコメントすることはありません。

立憲民主党・野田代表:
党内からは厳しい意見がずいぶん出てるようですし、今日でしょうか、総理経験者とお会いをするとか。そういう状況を見ながらどういう対応をするかというのを確かめながら、我々もコメントしたいと思います。

一方、自民党の中では“石破おろし”の動きが加速。

党の若手議員らで構成される自民党の「青年局」が開いた47都道府県の地方組織との会議では“退陣論”が噴出。

自民党青年局・中曽根局長:
まず大変声が大きかったのが、総裁及び執行部の刷新。そして即時退陣というもの。結果責任、これを考えれば即時の退陣というのが必要であるという声が大多数を占めた。

党本部には神奈川県連の代表が、責任の所在を明らかにするよう求める文書を提出に訪れるなど、地方組織から退陣を求める動きが続々と。

自民党 神奈川県連・梅沢 裕之 幹事長:
“責任の明確化”ということで、辞任が一番分かりやすいと。その要請です。

党内には関税交渉の合意を踏まえ、石破総理が当面続投すべきだとの意見もあるものの、“辞任は避けられない”との見方も強く、与党関係者からは厳しい声が上がっていた。

(Q.トランプ関税合意したが・)
自民・若手議員:

合意したところでもう辞めざるを得ないでしょ。党内がもう許さないですよ。旧派閥単位でリコールの署名をやっていると聞いている。

自民・若手議員:
そもそも衆院選、都議選、参院選と3つ負けてしまったわけだから、執行部は何らかの対応を取るべきだと思いますよ。

自民・閣僚経験者:
石破さんはもう詰んでるよ。

昼過ぎには、去年の総裁選で高市早苗氏を支持した議員たちが都内で対応を協議するなど、党内でも動きが加速。

「関税交渉がある8月まで続けたい。あわよくばその先も…」

そんな中、午後3時28分。総理経験者3人との約1時間半に及ぶ会談を終えた石破総理が記者団の前に。
進退についてどんな話が出たのか。しかし答えは…

首相:
強い危機感を皆で共有したということ。党の分裂ということは決してあってはならないということ。
私の出処進退については一切話は出ておりません。一部にそのような報道がございますが、私はそのような発言をしたことは一度もございません。

総理経験者3人との会談について石破総理は、“自分の進退についての話は出ていない”と強調し、続投に意欲を示した。

首相:
国民生活がきちんと守られるということ。それに向けて全力を尽くして参りたいということでございます。報道されているような事実は全くございません。以上です。

「総理退陣へ」との報道を、総理自身が否定するという異例の事態。
一体何が起きているのか。

フジテレビ報道局・高田政治部長:
総理退陣という号外が出て、その直後にその総理が否定するというのは、私もこれまで聞いたことありません。
なぜこんなことになってしまったのかと言うと、総理は続けたいんだけど、党の幹部の中にも一刻も早く退陣への流れをつくって確定させたいという勢力の間で、かなり齟齬があるという党内の状況が表れてると思います。

党内の“石破退陣論”が強い中、今後は…

フジテレビ報道局・高田政治部長:
石破総理としては関税交渉がある8月までは続けたい。そしてあわよくばその先もという気持ちもあるんだと思います。
ただ党内で石破総理を退陣させるために両院議員総会ですとか、総裁選の前倒しによって強制的に退場させようとする勢力があって、そちらが上回った場合にはかなり早期の退陣も予想されます。
(「イット!」7月23日放送より)