徳島県で14日、バスとトラックが正面衝突し、2人が死亡する事故が起きました。
なぜ事故は起きたのか。
原因の一つとして浮かび上がってきたタイヤの”バースト”。
急な破裂に潜む危険性とは。
■専門家が事故を分析
14日、徳島県で発生したトラックとバスが正面衝突する事故。
2人が死亡し、12人が重軽傷を負いました。
【目撃者】「爆発音がかなり大きな音でドーンと」
バスは炎上し、黒く焼け焦げ、トラックの運転席は大破。
なぜ、事故が発生したのか?
newsランナーは専門家とともに現場へ向かいました。
■専門家「相当な速度で衝突した衝突までに1秒2秒、3秒くらいの間やね」
【交通法工学解析研究所 小西所長】「相当な速度で衝突した衝突までに1秒2秒、3秒くらいの間やね」
見えてきたのは当時の緊迫した状況。
そして、今回の事故でバスの運転手が衝突直前に目撃したのが…
「トラックのタイヤの破裂”バースト”」。
【JAF担当者】「突然ボンっとなるので、予兆というのは難しい」
タイヤの空気圧の不足や劣化だけでなく、暑さによっても起こる恐れがあるタイヤのバースト。
今回の事故から見えてきた私たちが気をつけるべきこととはー
■トラック運転手とバス乗客の2人が死亡 12人が重軽傷
事故が起きたのは徳島県阿波市の徳島自動車道。
片側一車線の直線道路でバスとトラックが正面衝突しバスが炎上する事態に。
【記者リポート】「事故発生からおよそ5時間が経ちました。いまも現場ではいまも警察や消防が残り対応にあたっています」
車体は真っ黒に焼け焦げ、座席は跡形もなく骨組みだけに…
【近くに住む人】「初めはドーンという音、地響きしたような音。その後、爆発音が数回。黒煙は30mくらい」
この事故で、運転席の後ろにいた乗客1人とトラックの運転手が死亡。
バスの運転手と乗客あわせて12人が重軽傷を負いました。
■なぜ事故が起きたのか?
一体なぜトラックとバスは事故を起こしたのか。
発生から2日経ち当時の状況が徐々にわかってきました。
松山市を出発し、乗客12人を乗せ神戸・三宮方面に向かっていた高速バス。
バス会社によると、出発からおよそ2時間半後、突然、トラックが車線をはみ出し、そのまま正面衝突したということです。
■「交通事故鑑定官」と共に現場へ
なぜ、正面衝突したのかー。
newsランナーは、”交通事故の鑑定官”として多くの交通事故を捜査してきた専門家とともに徳島へ。
現場近くの道路は?
【交通法工学解析研究所 小西所長】「特に狭いとか、カーブが多い印象は受けないから、のんびり走りやすい道路形状だと思います」
事故が起きやすい”危険な道路”という印象はありません。
では、どのような状況で衝突したのでしょうか?
残った事故車両を一緒に見に行くと。
【交通法工学解析研究所 小西所長】「この辺にあるはずです、運転席の先端は。両車とも破壊量がすごいから相当な速度で衝突したことになるかな。(衝突までに)1秒か2秒、3秒くらいやね」
現場にはブレーキの痕は残されていません。
2台とも車体がかなりへこんでいることから、ブレーキをかける間もなく、相当な速度でぶつかったとみられます。
■トラックが対向車線に侵入か
さらに、事故当時の写真を見てもらうと…
【交通法工学解析研究所 小西所長】「トラックは(センターポールを)破壊している。ということはトラックはこの上を通ったということ」
小西さんが注目したのは中央線に立つポール。
トラックのすぐ後ろのポールは、折れていることが分かります。
【交通法工学解析研究所 小西所長】「トラックはポールを破壊しているから、既に対向車線にいた。バスは自車線にいた」
東向きに走っていたバスと、西向きに走っていたトラック。
小西さんによると、トラックがセンターポールを倒して対向車線に侵入し、衝突。
その後、トラックはバスに押し戻され、停止したと考えられます。
■バス運転手「トラックのタイヤがバーストしたように見えた」と説明
そして、今回の事故でバスの運転手が事故直前に目撃したのが…。
【バス運転手の会社などへの説明より】「トラックのタイヤがバーストしたように見えた。走行のバランスを崩し、センターラインを超えてバスの方に向かってきた」
突然バランスを崩したように見えたトラック。
タイヤの急な破裂、”バースト”を起こしていたのでしょうか。
小西さんによると、トラックが中央に寄って走っていたとすると、タイヤがこの白い柵にあたり、バーストしたことも考えられます。
今回の事故と”バースト”との関連はまだわかっていませんが、一歩間違えると事故につながる恐れがあると指摘します。
【交通法工学解析研究所 小西所長】「運転手の対応次第で事故につながることがある。バーストをする経験値がほとんどの人はないわけですが、なぜ事故につながるかというと、びっくりして慌てるから対向車にぶつかったりする」
■身近な危険「タイヤのバースト」
一方、身近にもあるというタイヤのバーストの危険。
7月2日、北海道ではタイヤがバーストし縁石に乗り上げる様子が、後ろを走る車のドライブレコーダーに記録されていました。
【目撃者】「全くリアクションもできず、ブレーキも踏めず…。縁石に乗り上げないではじかれて、こっちに戻ってきたりしたら、おっかないなと」
■バーストの実験映像を見ると…
タイヤのバーストはなぜ、起きるのか。
車のトラブルに対応する「JAF」は、バーストの原因の一つとされる「タイヤの空気圧」が不足していたらどうなるのか検証しました。
時速100キロで走行すると空気圧が「適正なもの」と「半分のもの」2つのタイヤの表面温度に違いはありませんでした。
しかし、速度をあげると空気圧が半分の方のタイヤは徐々に温度が上昇し、時速210キロで内側は100度以上に。
そして一部が破裂しました。
【JAF大阪支部事業課 中植啓伸さん】「新品のタイヤを使ってますので、210キロで破裂しましたが、実際は摩耗しているタイヤを使って走行しているので(速度が)遅い場合でも十分にバーストが起こりうると思います」
■突然「ボン」バーストの予兆は難しい
バーストする原因は、空気圧の不足や劣化だけでなく、”暑さ”によっても起こる恐れがあります。
JAFのロードサービスの出動理由でも、お盆の期間はタイヤのバーストやパンクが1位です。
では、運転中にバーストした場合を想定した事件では、カーブを曲がりきることができず、停まりました。
【JAF大阪支部事業課 中植啓伸さん】「なかなか方向を安定させるのは難しい。突然ボンって来ますのでバーストは予兆(を知る)というのが難しいと思う」
■1か月に1回は点検を
タイヤのバーストは急に起こりますが、未然に防ぐ方法はあるのでしょうか?
【JAF大阪支部事業課 中植啓伸さん】「こちらの車種の場合はここに空気圧の値がのっています。車種によって適正値にもバラつきがあるので、ご自身が乗っている車の適正値は自分の車で確認してもらえたら」
そして1か月に1回は「点検」することが大事です。
【JAF大阪支部事業課 中植啓伸さん】「触ってみてもたぶん気づきにくいかと思いますので、こういった専用の測定器=タイヤエアゲージを使用していただければ確実だと思いますので」
突然起こるタイヤのバースト。
悲惨な事故を起こさないためにも身を守る対策が必要です。
■「タイヤのバースト・パンク」への対策 「乗る前の確認」を!
「タイヤのバースト・パンク」への対策を紹介します。
<乗る前の確認>
・空気圧=空気が入り過ぎていないか、減りすぎていないか。
・ひびが入っていないか確認を。
・釘や石が刺さっていないか。
・”スリップサイン”
■”スリップサイン”とは
この”スリップサイン”がどのようなものなのか、見ていきます。
スリップサインとは、タイヤの交換時期を判断する目安の1つです。
タイヤの側面には三角の印がついていて、そこから横に目を移すと、溝の中にうっすらと盛り上がった部分があります。
こちらがスリップサインで、タイヤが擦り減るとくっきりと出て、『交換時期ですよ』と示してくれます。
タイヤをじっくり見ると、気を付けるべきサインがあります。
■運転中のバーストへの対処は
運転中にバーストした場合の対処法も紹介します。
もしバーストしてしまったとしても、急ハンドル・急ブレーキをすることはやめましょう。
ハンドルをしっかり握り、落ち着いて慌てずに減速を図ってください。
これから夏休みシーズンで、普段あまり運転しない、運転に慣れていないという方もいらっしゃると思います。
タイヤのバーストには十分に対策もできますので、お気をつけください。
(関西テレビ「newsランナー」2025年7月16日放送)