7月10日の午後10時半ごろ、北海道・福島町の住宅街で撮影された映像。
住人が住宅の軒先にライトを向けると、そこにいたのは1頭のクマです。
クマは時折下を向き、10分ほど動かずその場にとどまっていたということです。
この“居座りクマ”の映像が撮影された約3時間前には、50メートルほど離れた草地の中を移動するクマの様子が撮影されていました。
そして、この2日後の7月12日、新聞配達中の佐藤研樹さん(52)がクマに襲われ死亡しました。
その4日後の16日未明、またしても目撃情報がありました。
16日午前1時30分ごろ、草地でもクマが目撃されたということです。
目撃者によりますと、奥に見える高校の方向にクマが走り去っていった可能性があります。
クマを目撃したのは、町内を車で巡回していた住民です。
現場は、新聞配達員の佐藤さんが遺体で見つかった草むら付近でした。
さらに午前2時過ぎには、草むらから1kmほど離れた住宅でも「クマのうなり声を聞いた」と住人から警察に通報が寄せられました。
のどかな小さな町は、クマの脅威にさらされています。
7月14日、スーパーのごみ置き場の扉が破壊され、生ごみなどが荒らされているのが見つかりました。
クマが体当たりしたとみられ、扉は硬い材質ですが、変形してしまっています。
さらに住宅でも、玄関から家の中をのぞこうとしたのか、ガラス戸にクマの足跡が残されていました。
町内を徘徊するクマ。
なぜ人の生活圏に入り込んでいるのでしょうか。
北大獣医学研究員・坪田敏男教授は「最初はエサを探してうろうろしている間に市街地に来て、生ゴミがあって、それを荒らしたのだと思う。1回それを覚えてしまったということで、市街地にいればいいことがあると。数日後に出てきて、犠牲になられた方と出くわして襲ったということだと思う」と推察します。
動物の生態や生息を研究する釣賀一二三さんは、「おおまかにみて2種類くらいの足跡で、大型のものと小型のものを計測した。少なくても(足跡が)2種類見つかっているので、確実に2頭以上出没していた」と、2頭以上は出没していると指摘します。
捕獲や駆除のめどが立たない中、住民の不安は募るばかりです。
住民:
(クマの目撃情報が)2度あり3度ありということもあるので、やっぱり不安はみんな持っている。用事があっても外を歩けない。
町は箱わなを5基設置し、クマの捕獲に向けて警戒を続けています。