オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の妻と次男の自宅から、現金数千万円が見つかっていたことが分かりました。

埼玉・越谷市内の閑静な住宅街。
多額の現金が見つかった部屋に住んでいるのは、オウム真理教の教祖・麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の妻と次男です。

この数千万円にはどんな意味があるのか、そして、家族の拠点への家宅捜索という異例の対応の裏にある公安当局の狙いとは。

1984年に活動を開始し、ヨガセミナーなどで若い世代を中心に信者を勧誘したオウム真理教。
その後、衆議院選挙に出馬するなど活動を活発化。

そして、多くの死傷者を出した「地下鉄サリン事件」や「松本サリン事件」など、日本を震撼(しんかん)させるテロ事件を起こしたのです。

松本元死刑囚は一連の事件の首謀者として逮捕。
オウム真理教も解散となります。

その後、死刑判決を受けた松本元死刑囚は、2018年に刑が執行されました。

しかし、現在も「Aleph(アレフ)」や「ひかりの輪」「山田らの集団」など、オウムの後継とされる団体が複数存在。
いずれも公安調査庁の監視対象となっています。

特にアレフを巡っては、地下鉄サリン事件の被害者側に対し10億円超の支払い命令が確定していますが、この支払いが滞っている状態です。

こうした中で今回見つかったのが、松本元死刑囚の妻と次男が住むマンションでの多額の現金。

近隣住民は「黒い垂れ幕みたいな感じで中が見えないような。部屋の中を隠しているような感じ。とにかく、見た感じなんか普通じゃないなっていう雰囲気」と話します。

関係者によりますと、公安庁が立ち入り検査を試みますが妻側が拒否。
公安庁からの告発を受け、埼玉県警が家宅捜索を実施したところ、現金数千万円が見つかったのです。

次男は松本元死刑囚が後継者の1人に指名したとされていて、後継団体のアレフは次男を教祖に据えようとする動きを見せています。

フジテレビ・上法玄解説委員:
後継団体は麻原彰晃の写真を飾って、麻原の崇拝を強めているという実態がありますので、麻原の後継者として、麻原の息子を崇拝していくといった傾向があるんだと思います。

ただ、妻と次男はアレフに所属していません。
にもかかわらず、公安庁はなぜ2人の拠点を調査対象にしたのでしょうか。

公安庁の関係者は「団体規制法上、信者かどうかは関係ない」としたうえで、「次男らの家が団体の活動に使われているのではないかと疑われる理由があったため調査に入ろうとしたが、拒まれたため告発した」と説明します。

アレフは以前、松本元死刑囚の妻が描いた絵画の使用料として現金を支払っていたことが分かっていて、現在も資金提供は続いているとみられ、公安当局が動向を警戒しています。