投票が迫っている参院選注目の選挙区。

京都選挙区には9人が立候補しています。

過去最多の候補者となっていますが、7月12日から13日にFNNが実施した調査で、自民・維新が「やや優勢」、立憲・共産が「追う」展開となっています。

京都はこれまで12年間、自民と共産が議席を守ってきましたが、いったいどんな戦いになっているのか、取材しました。

■自民“重鎮”の戦い

祇園囃子でにぎわう京都。そこに響くのは…。

【自民・現職 西田昌司候補】「大きな大きな嵐と風が、私の前に立ちふさがっています。私は断じてこの議席を譲るわけにはまいりません」

4期目を狙う自民党・現職の西田昌司さん(66)の必死の訴えです。

西田さんは長年、北陸新幹線の延伸計画を実現するために尽力していて、6年前の選挙では、得票率40%以上の圧倒的な勝利を手にしました。

しかし今回…。

【自民・現職 西田昌司候補】「今までの選挙で一番厳しいのは間違いない」

(Qひめゆり発言が影響?)
【自民・現職 西田昌司候補】「それも含めて、(報道などで)作られていますね争点が。そこが問題だと思いますね」

西田さんは今年5月、沖縄のひめゆりの塔の展示について「歴史の書き換え」などと発言したことが批判を受け、その後、発言の一部を撤回し、謝罪しました。

自民党そのものの支持率が低下する中、西田さんの言動などをめぐって党内部からも厳しい声が聞こえてきます。

【元衆院議長 伊吹文明さん】「自民党に大きな責任がある。それと同時に、西田さんにもある程度、日ごろの言動とか色々な責任がある」

演説中にも、発言に異を唱える人の姿もあります。

(Q“ひめゆり発言”への反対が出てたがどうか?)
【自民・現職 西田昌司候補】「よく分からない、何のことか分からない」

さらに北陸新幹線の「小浜ルート」については、仏教界が「千年の愚行」と反対を表明するなど、厳しい中での選挙戦。

15日は、自身のSNSに緊急のお願いを投稿しました。

【自民・現職 西田昌司候補】「今日の新聞報道などを見ていますと、私が京都選挙区では3位に甘んじている。このままでは議席を守ることができません。皆さま方の携帯電話で是非とも10人以上、西田昌司に投票て、何とか押し上げてやってくれと、お電話していただきますように、よろしくお願いいたします」

様々な“逆風”の中、長年の実績と「積極財政」を訴えて、戦いを進めています。

【自民・現職 西田昌司候補】「困っている人を助ける、『経世済民』が一番大事なんです。今までも、これからも全力で働いて参ります。西田昌司をお助けください」

■維新“悲願”達成目指す

その西田さんと競り合っているのが、日本維新の会・新人の新実彰平さん(36)。

関西テレビの元アナウンサーで、過去には番組でLGBT法案について、西田さんと議論も交わしていました。

【維新・新人 新実彰平候補】「必要財源5兆円の現実性。所得の低い方ほど恩恵にあずかっていただける効果。そして景気の冷え込みも招かない。この3つをもって食料品の(消費税)0%を根拠を持って、我々は申し上げています」

関西で支持を集める維新ですが、実は京都では、参議院選挙で議席を獲得したことはありません。さらに前回の衆議院選挙では比例票を大きく落とすなど、厳しい評価を受けています。

【日本維新の会 吉村洋文代表】「京都は大変なんです。自民党と共産党がめっちゃ強いんです」

そんな中での初めての選挙戦。

去年、維新に合流した前原共同代表と二人三脚で戦います。

(Q前原さんの選挙区で反響ありますね?)
【日本維新の会 前原誠司共同代表】「いやいや彼の人気ですよ。特に女性人気が」

党として初の議席獲得への期待がかかることについて本人は…?

【維新・新人 新実彰平候補】「やることをやる、言うべきことを言う、その結果が正か否か、これだけ。自分が(立候補)したら、構図とか、周辺関係とか気にならないですよ」

■共産「宝の議席」死守を目指す

そして、2人を追うのが共産党・現職の倉林明子さん(64)。

関西で唯一の選挙区での党の議席=「宝の議席」を死守するため、公示初日からトップも駆け付けます。

【共産党・田村智子委員長】「党の委員長が、京都に応援に入るのは実に久しぶりのこと。“宝の議席”。応援に駆けつけました!」

しかし、共産党は現在、党員数が最盛期(1980年代)のおよそ半分となり、高齢化などもあって”党勢低下”が指摘されています。

また、これまで支援者だった女性が今回、れいわ新選組から出馬するなど、リベラルの受け皿としての存在感が問われる選挙となっています。

(Q不安材料は?)
【共産党・現職 倉林明子候補】「不安材料って、選挙やからね」

(Q共産党の“党勢低下”については?)
【共産党・現職 倉林明子候補】「ありがとう、ご心配。現実そうだけど、選挙戦通じても、高校生とか若い人たちの反応が良くなっている。変化は作れる!」

2期12年の実績や、元看護士として「医療体制を立て直す」ことなどを訴えて、議席の死守に務めます。

【共産党・現職 倉林明子候補】「日本共産党は消費税は5%に減税し、中小企業や弱い者いじめをするインボイスはきっぱり廃止をさせます」

(Q大混戦?大接戦?)
【共産党・現職 倉林明子候補】「大混戦!抜けるぞー!」

■立憲“大物”から厚い支援

同じく自民党と維新を追いかけるのが、32年前の「葵祭」で斎王代を務めた女性。立憲民主党・新人の山本和嘉子さん(57)です。

党の“大物”議員らの厚い支援を受けて戦います。

【立憲・新人 山本和嘉子候補】「皆さんの暮らしを支える立憲民主党。(食料品の)消費税8%を0%にすること、これの実現をさせていただきたい」

しかし不安要素も…。

【立憲・新人 山本和嘉子候補】「もともと連合は“一本化”を仰っていたので、“一本化”をできなかった感があるかなと」

それは、支援を受ける「連合京都」の票の分散です。
連合京都は立憲民主党に加えて、国民民主党の候補者の推薦を決定。初となる“ダブル推薦”によって票が割れることが予想されます。

【立憲・新人 山本和嘉子候補】「連合京都の皆さま、立憲民主党に推薦いただいた産業別組織、それ以外の方は無理は申しませんが…ぜひとも勝ち上がるために」

しかし、過去に衆議院議員を務めた経験も強みとして、京都を駆け巡ります。

■過去最多9人が立候補

そして、ここまで紹介した候補者4人を追いかけるのが、参政党、国民民主党、れいわ新撰組、無所属、諸派の、新人5人です。

【参政・新人 谷口青人候補】「1、2、参政党!」

参政党から出馬したのは、新人の谷口青人さん(46)。

2年前に農家として亀岡市に移住しましたが、今回、国政にチャレンジし、「日本人ファースト」を訴えて票の獲得を目指します。

【国民・新人 酒井常雄候補】「手取りを増やす夏にする」

国民民主党・新人の酒井常雄さん(63)は、京都府議会議員を14年務めた経験を強みに、選挙戦を戦います。

【れいわ・新人 西郷南海子候補】「チャンスとみてます!」

れいわ新選組からは、6年前は共産党を支援していた、新人・西郷南海子さん(37)。

「消費税廃止」と「積極財政」を訴えて共産党との違いもアピールします。

このほか、北陸新幹線「小浜ルート」の見直しを強く訴える、無所属・新人の二之湯真士さん(46)。

諸派の新人で、政治のAI活用などを訴える木村嘉孝さん(50)が出馬しています。

過去最多、9人による大混戦の京都選挙区。

2つ議席を、現職が守るのか、新人が奪うのか。戦いの行方は7月20日に決まります。

(関西テレビ「newsランナー」2025年7月16日放送)

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