今年上半期は、みのもんたさんや長嶋茂雄さんなど、著名人の訃報が数多くありましたが、みなさん自身は、人生の終わりについて考える「終活」。やっていますか?
■アドバイザーが教える 損をしないための終活
関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」では、終活アドバイザーの平井寛(ゆたか)さんに詳しく聞きました。
終活でまず始めることを、2つにしぼり解説してもらいます。
その2つとは、「口座じまい」と「家じまい」ということです。
【平井寛さん】「銀行の口座を、いくつも持っている方がおられると思いますので、これは早めに少しずつ減らして行くってことも一つ大事。つぎにその家をどうするのかという、これが非常に大事になってきます」
スタジオのジャーナリスト・岸田雪子さんは、「父が亡くなった後に一番困ったのがお金。そもそもどこに、何をどれぐらい持ってるのかが全然わからなかった」と体験談を話しました。
【岸田雪子さん】「引き出しを全部引っ張り出して、通帳を見つけて、『こんな郵便貯金もあったんだ』みたいな発見があってびっくりしました」
60 代の 4 割が、銀行口座を3個以上、しかもそのうち半分は6個以上も持っているというデータがあります。
(60代が持つ銀行口座の数:3個 23.2%、6個以上22.7%、2個20.7%、その他33.4%)
【関純子アナウンサー】「子どもの習い事の引き落としとか、給食はこっちから引き落としとか、指定されて色々開いていくんですよね」
■亡くなった人の口座からお金を引き出すには一苦労?
損しないために「口座じまい」の中でやるべきこと2つあります。
1.口座の数を減らす
2.口座の一覧表を作る
口座の名義人が亡くなると口座は凍結され、それを解除する時点で大変だということです。
【平井寛さん】「口座名義人が生まれてから亡くなるまでの戸籍を証明する戸籍謄本や除籍謄本、相続をする人全員の戸籍謄本、相続する人全員の印鑑証明、口座の通帳が必要になり、用意するのにそれぞれお金は掛かります」
(Q.戸籍謄本と除籍謄本は同じ場所でもらえる?)
【平井寛さん】「去年の3月に変わって、今までは例えば、大阪だったら大阪に行って、大阪の戸籍を集めてきて、その前の所が例えば四国だったら、四国に連絡をして集めてくることが必要でした。それが今『広域交付』という形ができたので、今はお近くの市役所に行って、私が『父親が亡くなりました、生まれてから亡くなるまでの戸籍を全部そろえてください』と言うと、それがそろうようになったんです。ここは、すごく楽になりました」
(Q.通帳がない銀行に口座があるかどうか問い合わせできる?)
【平井寛さん】「近隣の銀行に聞いていただいて、問い合わせをすることは可能です」
(Q.マイナンバーカードは?)
【平井寛さん】「これからマイナンバーカードの口座の紐付けをしておくと、マイナンバーとかカードから口座を見ることできるんですけども、多分ほとんどの方は、まだされていないので…。転勤とかで自宅近く以外の所で作っていると、分からなかったりしますのでちょっと大変ですね」
また亡くなった人の口座からお金を引き出すために集めた戸籍謄本などの資料をまとめて、法務局に申請に行くと、「法定相続情報一覧図」というのをもらうことができます。
生まれてからの戸籍を全部整理して、誰が相続人になるのかが分かる書類です。これは自分で申請すれば無料です。専門家の司法書士などに頼むと少し費用かかります。ただ、どちらにしてもこの書類(戸籍謄本など)は準備が必要です。このワンセットがないと、『法定相続情報一覧図』ができないんですね」
■苦労したのに…水の泡どころかマイナスに 残された家族のために一覧表を
こんなケースがあったそうです。
奥さんが亡くなって遺品を整理していたら、奥さんの旧姓名義のキャッシュカードが出てきました。通帳がないのでいくら入っているかは分かりません。
銀行への開示請求に必要な書類を集め出しました。開示請求というのは、口座があるかどうか、残高を教えてもらうという段階です。
残高を教えてもらうために必要な書類を集め、銀行へ行きました。
その結果、苦労して確認したにも関わらず、数百円しか入っていませんでした。
【平井寛さん】「通帳があれば、相続が起こったら1回は記帳はしてもらいたいんですけど、通帳って、すごく分かるんですよ。クレジットカードの引き落としがあるとか、ガスの引き落としがあるとか、慌てて閉めてしまうと、それが引き落としができなくなったりするので、すごく大事な情報です。根底として、まずどこの銀行であるか分からなかったら、銀行へ行くこともできないので、一覧表を作っておいてください」
口座の一覧表の記入例として、口座のある銀行と支店、口座番号、できれば担当者の方の名前や連絡先。ほかにはクレジットカードや証券口座や通帳の置いてある場所などもまとめてあると安心です。
今回、平井さんが“NPO法人らしさ”というところで作っている、“ら・し・さノート”にも、口座の一覧を書くページがあります。これを使ってくださいというわけではなく、こういうふうにノートにまとめておくと、残された家族はパッと見て行動に移しやすいということです。
タレントのJOY(ジョイ)さんは、「僕はラッキーなパターン」と話します。
【JOYさん】「うちの母は全部まとめてくれて、ファイルにちゃんとまとめてくれて、パスワードとかも全部書いてくれてる。やってくれているので、あとは司法書士さんに連絡すれば良いっていう状態にしてくれてるんです。そこまで知らない方も多いですもんね」
【平井寛さん】「ほとんどの方は、されてないですよね」
■なんで相続したことがバレるの!?
続いて「家じまい」について。
【平井寛さん】「(亡くなった人が住んでいた)お家は、どうするのかということを、まず考えることが必要になってきます。そのまま自分が住むとか、家族が住むという、『住む』という考え方もあります。場合によっては、『貸す』という方法もあります。結構多いのは、『売却』をする。でもなかなかすぐには売却できないとか、色んなことがあります。今日は売却した場合の注意点をお話ししたいと思ってます」
こういうケースがあるそうです。
父が亡くなり、不動産を相続する権利を持っていたある男性。父が亡くなったところでバタバタしていただめ、落ち着いたら売ることも考えていました。そして、手続きを終えて無事に相続完了。
するとその途端、大量の電話がかかってくるようになりました。しかも内容は、「お持ちの不動産、売りませんか?」、「手続きは全部やりますよ」というような、あま〜いお誘いばかり。
甘い話に加え、お父さんが亡くなってバタバタしていたこともあって、「もうええわ!」と売ってしまいましたが、後々落ち着いて調べたところ、相場よりかなり安い値段で売っていたことが発覚。損をしてしまったということです。
(Q.なんで相続したことがバレてる?)
【平井寛さん】「相続登記といって、金融資産と同じように不動産も相続すると登記をします。そうすると法務局に登記をされるんですけれども、この登記の情報は、誰がどこに持ってるのか主張するためにあるので、逆に言ったら住所が全部載ってるんですよ。ここで相続の原因で変わった情報を取られる、そういう商材を持ってる方がおられて、その情報を見てみて、その人に電話やDMを送るっていう形になる」
■「家じまい」しないためには「買った時の値段を把握」
損をしないためには、大体の相場は不動産をチェックしたりするのも大事なのですが、平井さんは「買った時の値段を把握しておいて」ということです。
【平井寛さん】「売れる値段も大事なんですけども、手元に残るお金にかかる税金を考えてほしいです」
例えば、親が5000万円で買った不動産を相続して、それを自分が1億円で売った場合。5000万円の利益が出ます。税金はその20%なので1000万円を納税することになります。
もし買った時の値段が分からなかった場合は…。
【平井寛さん】「原則、基本は概算取得費という形で、売った値段の5%を取得費とみなすことになります」
先ほどの例に当てはめてみると、1億円で売れたので、売った金額の 5%を買った金額とみなし500万円で買った家だったと計算されます。利益が9500万円となります。
税金は20%なので、1億円で不動産が売れた場合、9500 万円の 20%、1900 万円の税金を収めなければいけません。
【平井寛さん】「そういう形で税務署が決めてますので、逆に言うと、もっと安い先祖代々の土地を売っても『5%は認めましょう』と感じです」
ということで、今回は皆さん覚えてください。「口座じまい」と「家じまい」は、できるだけ親と相談したり、家族で話し合っておいてはいかがでしょうか。
(関西テレビ「旬感LIVEとれたてっ!」2025年7月15日放送)