「ご飯10杯まで無料です。いっぱい食べてください!」と豪快に告げる店主の岩淵健さん。テーブルに置かれたのは、重さ約200グラム大きな豚の角煮がどどーんと乗ったカレーだ。
岩手県一関市花泉町に2024年7月オープンした「満家食堂」は、その圧倒的なボリュームや地産地消をテーマにした料理で地元客の心と胃袋を満たしている。
店名の由来について岩淵さんは「満たされる家、満足できる家をモチーフに満足度を高める家を目指して『満家食堂』を作りました」と語る。
その名の通り、客が満足して帰る姿を見るのが何よりの喜びだという。
看板メニューの「豚の角煮カレー」は、そのインパクトで初めて見る人を驚かせる。カレーの上に約200グラムもの豚の角煮がどーんと乗ったその姿は、まさに圧巻。衝撃的なボリュームだ。
カレーは1時間半、豚の角煮は3時間半もの時間をかけて丁寧に仕込まれる。八角などの香辛料を効かせた甘辛い角煮は、プルプルの食感が特徴で、スパイシーな中辛カレーとの相性も抜群だ。
岩淵さんによると「最初提供する時は皆さん驚くが、おかわりしてくれたりペロっと食べてくれるお客さんが多い」という。
同じく人気の「ローストビーフ丼」は、和牛のもも肉を低温で3時間かけて調理。中はしっとり、外はローストして香ばしく仕上げられている。
醤油ベースに玉ねぎとハーブを加えた自家製ソースと卵黄を絡めれば、柔らかくジューシーな肉の旨みを存分に堪能できる。
「親会社が農家。そこからの協力で米や野菜を仕入れている」と話す岩淵さん。
地産地消をテーマにした料理の数々は、地元の食材の魅力を最大限に引き出している。
実は、岩淵さんは「お肉博士1級」の資格を持つ肉のプロフェッショナル。その知識と技術を活かした料理の数々は、地元の食通たちも唸らせている。
その肉博士・岩淵さんがおすすめする部位にも注目だ。
「和牛のブリスケという部位で肩バラという場所。さっと焼しゃぶ程度の感じで、3秒3秒くらいで召し上がることができる」と岩淵さんは説明する。
この肉を卵黄・ネギ・キムチを合わせた特製ダレでいただくと、肉の脂の旨味と卵のこってり感、キムチの辛味が後を引くおいしさだ。
牛カルビ、豚バラ、豚ロースの「お特盛り」は、お肉をお腹いっぱい食べてほしいという岩淵さんの思いが詰まった一皿だ。
また、宴会のコース料理には華やかな演出も用意されており、地元の宴会需要にも応えている。
岩淵さんは「地域密着型で営業するのが頭にあったので、末永くこの店舗で自分の地元でもあるので長く続けたい」と将来の展望を語った。
見た目のインパクト、丁寧な調理によるおいしさ、そしておかわり自由などのサービス精神で、「満家食堂」は既に地元で評判の店となっている。肉料理好きなら一度は訪れたい、岩手の新たな店だ。