小学校教師が指導のため児童を羽交い絞めする行為は暴行に当たるのかー。
11日、福山市で注目の裁判が開かれました。
■羽交い締めにして暴行罪に問われる
裁判官が言い渡した判決は無罪。
判決によりますと、福山市立小の男性教師(37)は、去年5月、勤務する小学校で掃除時間にもかかわらず校庭でボールを蹴って遊んでいた児童を注意。児童が足を蹴るなどして暴れたため、羽交い締めにしたとして暴行罪に問われていました。
教師は、書類送検された後略式起訴され、福山簡裁から罰金10万円の略式命令を受けましたが、不服として正式裁判を申し立てていました。
男性教師は無罪を主張した一方で、検察側は児童と教師には体格差があったことなどから過度な力の行使だったと主張していました。
裁判では教師の行為が正当防衛に当たるかが争点となっていました。
■暴れる児童に「暴れるのをやめたら放すよ」
11日判決で裁判所はこれまでも男子児童が授業妨害をしたりパソコンを持ち込んでインターネット動画を見たりする行為があり、学校側が指導してきたことを認めました。
事件当日は男性教師が注意をした際、児童が逃げようとしたため腕をつかむと児童は膝で蹴ったり手で殴ったりして抵抗したとしました。
教師は羽交い締めにした後、「暴れるのをやめたら放すよ」などと児童に言い、2、3分後に児童が落ち着いたところで自分の手を放したということです。
■「懲戒権の範囲内」男性教師に無罪判決
松本英男裁判官は「問題のある行動を繰り返していた児童に対して口頭での指導を行うためにその場にとどめようとした」と指摘。
学校教育法に規定される懲戒権の行使の範囲内と判断し、「法令によってなされた正当な行為で、暴行罪は成立しない」として無罪判決を言い渡しました。
男性教師の代理人弁護士によると、男性教師は「安心した」と話しているといい、弁護士は「こちらの主張がおおむね認められ、望んだ判決が出たので納得している」とコメントしました。
広島地検の岡田馨之朗次席検事は「判決内容を精査し、上級庁と協議し適切に対応したい」とコメントを出しました。
■市教委「体罰に該当しない」
市教委などによると、男性教師は現在、別の小学校に勤務しているということです。
市教委は事件後に聞き取りなどから「体罰に該当しない」と判断していて、「引き続き子どもたちが安心して安全に過ごせるようまた、子どもたちへの指導が適切に行われるよう努める」としています。