事実上の政権選択選挙とも言われる今回の参院選。
国の将来を選択する上で、各党の子育て支援策も判断には重要な要素です。
2026年度から全国で導入される保育制度も課題が見え隠れします。
「目先の生活費が結構かかるので、月1万5000円の児童手当では全然まかなえない。子どものオムツ1袋で3000~4000円、月に2袋買って8000円」(一児の母親)
物価高の中、毎日向き合う「子育て」。
その「支援策」は、参院選の争点の一つです。
1人の女性が産む子どもの推定人数を表す「合計特殊出生率」は2024年、過去最低の「1.15」。
北海道は東京都、宮城県に続き3番目に低い「1.01」と過去最低を更新しました。
育児休業制度や児童手当の拡充など、「異次元の少子化対策」が打ち出されて2年…。
子育て世代からはさらなる対策を求める声が聞こえてきます。
「(男性の育休は)自分の職場は取りやすい方だと思うが、友達の会社とか聞くと、全然取れないって話していた」(一児の父親)
「中学校、高校ぐらいからすごくお金がかかってくるじゃないですか。大学も、と考えたら3人目ってなるといくらさらに必要になってくるんだろう、と考えたら怖くなる」(二児の夫婦)
保育園では新たな取り組みが始まっています。
「おはようございます」(保育士)
「おはようございます」(二児の母親・岩村南美さん)
「すずちゃん、おはよう。大丈夫大丈夫。(午前)11時30分にお待ちしています」(保育士)
札幌市手稲区の認可保育園を訪れた涼叶ちゃん(10か月)。
2024年夏からこの保育園が取り組む「こども誰でも通園制度」の利用者で、6回目です。
この制度は保護者が働いているかどうかに関わらず、生後6か月から3歳未満の子どもを月に10時間まで保育所などに預けられるもの。
北海道内では札幌市や函館市などで試験的に行われていて、国は2026年度から全国で導入します。
「私自身、夫が出張多くていわゆるワンオペの時間がすごく多いので、先回りして自分の時間を作ろうと意識していたので、こういう制度があるのはありがたい」(二児の母親 岩村南美さん)
「(Q:子どもを預けている間は?)買い物したり、子どもいるとなかなかできないところの掃除とかしています」(岩村さん)
6人の保育士が在園児に加え、その日やってくる子どもをあわせて約15人の園児に対応します。
保護者がひとときでも育児から解放され、歓迎する声がある一方で、現場には負担もかかっています。
「(Q:制度利用の子どもが泣き止まない場合は?)ほとんどの時間抱っこ状態で、おもちゃで遊んでみたりとか。マンツーマンです。1年間通して感じたことは園への給付が非常に安い。やはり金銭面でもう少し改善していただかないと…」(キラキラ乳児保育園 斉藤政枝園長)
札幌市内では1時間300円で利用でき、保育園側には900円から1300円が国と札幌市から支給される仕組みです。
札幌市では2024年度から5か所多い20施設で取り組んでいますが、7か所は2025年度の実施を見送りました。
関係者は保育士の負担増加や補助金の不十分さが背景にあると言います。
家族社会学を専門とする中央大学の山田昌弘教授は、「制度設計の甘さ」を指摘します。
「制度自体が良くないのではなくて、利用者が悪いとか事業者が工夫しろというのでもない。そういう制度が成り立つように国、政府、自治体が支援するのが当然です。事業者が困らないような手当てをすべき」(中央大学文学部 山田昌弘教授)
子育て支援策は現場に負担を押し付ける形でいいのか。
そのあり方が問われています。