パリの風景に込めた光と思い 〜黒部出身の画家・二口正和さん帰郷〜

フランス・パリで40年にわたり芸術活動を続ける富山県黒部市宇奈月町出身の画家、二口正和さん(71)が故郷に戻ってきた。12日から始まる個展「光これからも…」の準備のためだ。

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パリの街に魅せられて

「僕にとって一番パリを感じるのは、友達でワイワイ言いながら、お酒も飲みながらの(カフェテリアの)風景。日本にない風景ですね」と二口さんは語る。

二口さんがフランスに移住したのは40年前のこと。現在はパリ近郊のリラ市に拠点を構え、モンマルトルの丘やサンルイ島など、パリの街並みを描き続けている。その功績は現地でも認められ、ナショナル・ボザール展で特別賞を受賞するなどの実績を持つ。

黒部市の実家にある倉庫では、妻の節子さんと共に個展の準備作業に余念がない。展示作品の中には、最後の仕上げとして手直しを施す姿も見られた。

刻々と変わる光を捉える

二口さんのお気に入りは、パリ18区にあるソール通りを描いた作品だ。

「夜の空の色とか建物の色が僕の目にはすごいたくさんの色彩が見えるんです」と語る二口さん。「現場に付いたらすぐに描きだすんじゃなくて、この通りなら上がったり下がったりして素敵なカップルだなと思ったら、絵の中に入れてみよう。そうやって現場の中で絵を描く瞬間というのは僕にとって至福の時間というか素敵な時間なんです」

彼は特に光が刻々と変化する夕暮れ時の情景を好んで描く。フランスの自宅から見える風景も作品のモチーフとなっており、「月夜のリラ」では中秋の名月の下、バルコニーから見た通りの様子と、寄り添う男女の姿を描いている。

富山からパリへ、そして再び

「僕の人生の中で関わりあいのあった富山の人たちの表情がフランスで絵を描いていても、時として僕の頭の中に浮かびます」と二口さんは故郷への思いを語る。「風景から関わり合いのあった人たちから、たくさんの光をもらっているんですよ。これからも光をいっぱい自分にもらって、そしてその光を分けてあげたいっていうか、優しい光を感じてもらえばいいな」

70歳を超えた今も、夜のパリの街を歩き回りながら題材を探す独特な創作活動は健在だ。二口さんの個展「光これからも」は12日から県民会館3階ギャラリーで開催される。約90点の作品が入れ替えを含めて展示される予定で、入場は無料である。

富山テレビ
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